最初の現象は「ショック・麻痺」状態
ショック期は、手足への血液の循環が悪くなり、指先が冷たくなったり、それなのに手のひらに汗をかいたりすることもあります。不眠、食欲不振もよくあらわれる身体的症状のひとつです。 |
この段階で「死を受け止めなさい」「死を認識しなさい」と言っても無理な話です。否定したくなる気持ちがまだある時期ですし、混乱して頭の中が真っ白な状態にあることでしょう。死という現実は、納棺、通夜、葬儀などの儀式を経ながら時間をかけて受け入れていくものです。
葬儀は本来は「社会的に認められた」悲しむための場所であるはずなのに、多くの人は、特に日本人は世間体を気にするあまり悲しみを表に出すことはできません。まわりの人は遺族が少しでも安心した気持ちでいられるよう、話を聞いてあげることが大切です。
怒り、罪の意識
ショック状態を過ぎると、怒りや罪の意識を感じるといった症状が出てくることがあります。たとえば友人・知人に対しての怒り「もっとこちらの気持ちも考えてほしい!」
医者や看護師に対しての怒り「他の病院だったら……・」
葬儀社や宗教者、業者に対する怒り「もっと気を遣って欲しかった!」
自分自身への怒り「自分は何もできない。何の力もない。」
などのほか、ショッピングをしているとき「店員の対応が悪かった。」など普段は感じないちょっとしたことで憤りを感じることがあります。
また、「生前もっとやさしく接していればよかった。」「最後に言った言葉が○○だったなんて……」など、罪の意識が生じることもあります。このような感情は、悲しみのプロセスの中で正常な心の動きです。人に話すことによって、少しでも心が楽になると言われています。
引きこもり、抑うつ
引きこもりや抑うつも悲しみのプロセスで生じる症状のひとつです。疲労や絶望感、無力感がともないます。中には「自分はもう悲しみを乗り越えた!」「自分は絶望などしていない!」ということを証明しようと自分を酷使してしまう場合もありますが、無理をすると体にひびきます。逆に「故人を忘れられない。」「怒りや罪の意識がずっと消えない。」など進展がないように感じる人もいますが、あせりは禁物。中には「もっと忙しくしてみたら……」「買い物でもすれば気が紛れるかも。」と助言する人もいるでしょう。もちろんノリノリなら気晴らしもOKですが、あまり気が進まないようであれば無理に忙しくする必要はありません。
では、特別な心理状態にある遺族に対してどのように接したら良いでしょうか?友人・知人として力になってあげられることは?次ページで