美術館めぐりが好きな私。もちろん、都内の美術館へもよく足を運びますが、地方にも素敵な美術館がたくさんあるので、ひとり旅にうまく組み込んで訪れることが多いです。アート鑑賞は一人一人観るペースが違うもの。ひとりであれば、時間をかけて思い残すことなく鑑賞できるのがいいですね。
今回訪れたのは、榛名山の麓、群馬県渋川市にある「ハラ ミュージアム アーク」です。こちらの美術館は、東京の品川にある現代美術館「原美術館」の別館。約40万?もの広大な敷地をもつ「伊香保グリーン牧場」の一角にあり、牧歌的な雰囲気のなかアートが楽しめます。開館から約20年。国内外の優れた現代美術を、さまざまな企画展を通じて紹介しています。
大自然に溶け込むモダンアートの数々を鑑賞
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緑に映える洗練された黒い外観が印象的です |
どこまでも広がる牧草地に放された羊や馬たちを眺めつつ、北西方向に進んでいくと、最奥に厩舎風の黒いシャープな建物が現れます。建築家・磯崎新氏による木造建築で、四季折々に移り変わる周囲の自然と調和しています。
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アンディ・ウォーホル「キャンベルズ・トマト・スープ」1981年 |
建物の周囲には10の屋外作品が配されていて、散策しながら作品を鑑賞することができます。なかでも特に目を引くのが、アンディ・ウォーホル「キャンベルズ・トマト・スープ」。赤と白のツートンカラーの巨大なスープ缶がドーンと置かれていて、芝生や周囲の木々のグリーンと鮮やかなコントラストを作り出しています。
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倉俣史朗「How High the Moon」1986年 |
緩やかな勾配の丘に点在する屋外作品を鑑賞し、いよいよ3つの展示棟の中にあるコレクション展を鑑賞することにしました。9/2(日)までの夏休み期間中は、「原美術館コレクション展ーつくるもの、つくるきもち」を開始中。アーティストたちのさまざまな表現方法と、そこに立ち現れる表現への欲求を「つくるもの、つくるきもち」として、アプローチの違いが織りなす面白さを楽しんでもらいたい、というもの。
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戸谷成雄「森?」1989-90年 |
数ある作品のなかで特に印象深かったものを2点ご紹介したいと思います。まずはじめは戸谷成雄「森?」。三角錐の天窓から柔らかな自然光が注ぐ展示室に、太さ30cm×30cm、高さ220mの木材がズラリと均等に並んでいます。これらはチェーンソーを使って彫刻されたもの。1本1本違った表情をもつ木材は、まるで生きているかのよう。森から切り出された木材が、ここで新たな森を形成しているようで、何ともユニークな作品でした。
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草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)1991年」 |
そしてもうひとつ、草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」。一歩ドアの中に入ると、壁から天井から床からすべて黄色に黒の水玉模様で覆われていて、一瞬ドキッとします。部屋の中央には鏡張りの箱があり、中をのぞいてみるとその中にはカボチャの大群が!! 鏡の織りなす不思議な世界が体感できます。
9/3~14は展示替えのため休館となりますが、9/15~11/25には現在の展示を一部差替え、また別のテーマのコレクション展が展開される予定です。前述した戸谷氏と草間氏の作品は、引き続き楽しめる予定です。
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ハラ ミュージアム アーク」
・住所:群馬県渋川市金井2844 伊香保グリーン牧場内
・地図:
Yahoo!地図情報
・TEL:0279-24-6585
・開館時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
・定休日:会期中無休
・料金:大人1,000円(グリーン牧場まつり期間1,200円)※牧場と共通
・交通(電車):JR上越線渋川駅から伊香保温泉行きバスで約15分、グリーン牧場前バス停下車すぐ
・交通(車):関越自動車道渋川伊香保ICから約8km、15分
アート鑑賞のあとは、併設のカフェ&ミュージアムショップに立ち寄ることに。
次ページで詳しくご紹介します。