からくり人形の実演、制作風景が見られるからくり展示館
犬山城を見学した後は、城下町を散策してみましょう。
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茶運び人形の解説・実演 |
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山車からくりの数々を展示 |
町歩きのメインストリートとなるのは、お城からまっすぐ南へ伸びる本町。文化史料館を見学したら、向かい側の
からくり展示館へ。犬山は、前回のガイド記事で紹介した半田市と並んでお祭りのからくり山車の宝庫。この地方では祭車は一般的に“山車(だし)”と呼ばれますが、犬山では“車山(やま)”と呼びます。各地区が所有する13輌すべてにからくり人形が載っているのも特筆すべき魅力です。
ここでは、からくり人形の数々を展示。モニターでは犬山のからくり人形、全種類の演技を見られる他、
土・日・祝日には茶運び人形と車山からくり人形の実演、金・土にはからくり人形師・九代目玉屋庄兵衛さんの作業風景が公開されます。
町屋を活かしたショップもいろいろ
オープンスタジオのFM局も
本町界隈には主に江戸、明治期に建てられた町屋が数多く残り、格子戸が整然と並ぶ落ち着いた風情が特徴的。最近は
古い町屋を再生させたショップも増えています。
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山田五平餅店。だんご型の五平餅は1本100円 |
からくり展示館を出てしばらく歩くと、香ばしい香りが漂い、お客さんでにぎわっている
五平餅のお店が。ちょうど小腹が空いたところだったので、ここで一服。その場で焼いてくれる五平餅は、ふんわりと柔らかく、自家製タレは素朴でしつこくない甘みが絶妙。五平餅なんてどこにでもありますが、これはおいしい!
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町屋からの生放送もある愛知北FM |
その向かい側に目をやると、町屋がFMラジオの公開スタジオになっていて、何とDJが袈裟姿のお坊さん。珍しさにカメラを向けていたら、マイク越しに声をかけられ、「実は取材で‥‥」と話すとスタジオに招き入れられ、飛び入り生出演することに(!)。しっかりAllAboutの宣伝をしてきました(笑)。
ひとしゃべりしたところで、再び通りをぶらぶら。体験教室も行っているとんぼ玉のお店や、若い店主が浮世絵や掛け軸をメインに扱い、その魅力を伝えてくれる骨董品店など、個性的なお店が見つかります。
さらに進んでいくと、町屋の中から音楽が聴こえてきたのでのぞいてみました。中庭に面したお座敷で行われていたのは、琴や尺八にウッドベース、シンセサイザーというユニークな編成のバンドのライブ。琴をメインに「コーヒールンバ」を奏でるなど、面白い演奏を聴かせてくれていました。この町屋は
旧磯部家住宅という元呉服商の商家で、起り(むくり)屋根と呼ばれる丸みを帯びた珍しい瓦屋根が印象的。普段は無料で一般公開されていて、月に1回ほど出し物が催されるそうです。
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偶然出くわしたアンサンブルコンサート |
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江戸時代の商家をそっくり残した旧磯部家住宅 |
本物の車山を展示するどんでん館
10月最終土日には秋まつりが開催
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「どんでん館」。“どんでん”とは車山が豪快に方向転換する様のこと |
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祭礼でも活躍する車山4輌を展示 |
どんでん館は本物の車山を展示する施設。館内には4両が展示され、照明と音響で祭りの1日の朝から夜までの模様を演出してくれます。ちなみに外観で目をひく円筒形の壁面は扉になっていて、祭りの日はここから車山が出て行くそうです。何だかサンダーバードの秘密基地のよう。是非とも勇壮な車山の出陣の様子を見てみたいものです。
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車山がそろう祭りは春・秋の2回開かれる |
実は近々、その風景を見られるチャンスが!
10月27(土)・28(日)日の両日、「城下町秋まつり」が開催されるのです。27日には、10輌の車山の引き揃えがあり、犬山城をバックに絢爛豪華な車山がズラリと並びます。28日にはヨロイ兜姿の甲冑(かっちゅう)行列もあり。歴史の舞台にふさわしい祭礼で、城下町全体が大いににぎわいそうです。
お寺巡りや国宝茶室での一服も
生活の息づかいが感じられる町並
本町の古い町並みは、どんでん館あたりまでで、犬山城の入口付近から1km足らず。周辺には古いお寺も数多くあるので、お寺巡りが好きな方は本町から東西の筋へ足を伸ばしてみるといいでしょう。
食事・休憩スポットは、本町は茶店や軽食類のお店が中心。散策がてら軽くおなかを満たしたい、という場合は立ち寄るお店に事欠きません。また、一服するなら、犬山城の東側にある
国宝の茶室・如庵でも和菓子付きでお抹茶がいただけます。
犬山駅方面に足を伸ばすなら、
「フレンチ創作料理 なり多」もおすすめ。登録文化財「奥村邸」内のレストランで、築約160年の古民家でフランス料理を味わう、という意外性も楽しめます。人気のお店なので、必ず事前に予約を入れておきましょう。
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本町の町並み |
犬山の城下町は、古い町並と言っても飛騨高山や妻籠馬籠のようにタイムスリップできるような江戸情緒一色に包まれる一画ではありません。町屋の間にごく普通の現代家屋もあり、町屋を再生したショップなどの立ち寄りスポットもところどころに点在しているといった程度です。
が、あまり観光地化されていないところに、そこで暮らす人々の息づかいが感じられ、そこに親しみやすさを感じられます。筆者は、突然のラジオ出演や偶然のライブ鑑賞など思わぬサプライズにも出くわし、思いの外充実した町歩きを楽しめました。皆さんものんびりぶらぶらと歩いてみると、思いがけない犬山の魅力に出会えるかもしれません。
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犬山市観光情報
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犬山城下町マップ
※犬山市城下町へのアクセスは名鉄名古屋駅から名鉄犬山線で約30分。犬山城から巡る場合は、犬山遊園駅下車。城下町・どんでん館あたりから犬山城へと向かう場合は犬山駅下車が便利。 (
名鉄電車HP)
車の場合、名古屋高速小牧北ICより約25分。
□ AllAbout(オールアバウト)名古屋の
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