集客は全盛期の1/20。松野社長に聞く閉館の真相
ついに35年の歴史に幕を閉じることになってしまった元祖国際秘宝館。その理由を、松野憲二社長にうかがいました。平成元年に亡くなった創業者の父・正人氏の後を継いで秘宝館を守ってきた松野憲二社長 |
松野社長 「そうおっしゃってくださる方は多いんですが、なにぶん経営的に苦しい状態が続いていたものですから。これだけの施設ですから維持管理費も馬鹿にならない。開業から35年たち老朽化が目立ってきましたが、改装するにはこれまた莫大な費用がかかる。今の状況ではそれだけのお金はかけられず、閉館することになりました」
筆者 「失礼ですが最近の来場者はどれくらいだったんでしょう?」
松野社長 「最近は…ちょっと待って下さいよ(帳簿を見て、売上から人数を割り出してくれる律儀な松野社長)。1万人前後ですね」
筆者 「全盛期はどれくらいだったんですか?」
かつては東海地方のあちこちで看板をみかけた秘宝おじさんもこれで見納め |
筆者 「となると1万人では厳しいですね…」
松野社長 「昔はこの前の道路は伊勢・鳥羽へ向かうルートで、うちもバス旅行の団体さんが中心だったんです。それが、最近は少人数の若いお客さんがほとんど。アンティーク的なモノとして面白がるという見方をしてくれていたようです」
筆者 「高速道路が伊勢まで伸びたため、観光客はここを通らなくなっちゃったんですよね」
松野社長 「そうなんです。でもまぁ、それもこれも時代の流れでしょう」
展示物の買い取り先を募集中!
お値段は全部まとめて800万円!!
またがってコインを入れるとガコガコ動く大人の遊具。お宅の屋上にいかが? |
松野社長 「施設は取り壊しになります。展示品については、実は現在、引き取り先を探しているところなんです」
筆者 「えっ、そうなんですか!? そう言えば、鳥羽にあった姉妹館「SF秘宝館」が閉館(平成12年)した際には、編集者の都築響一さん(『珍日本紀行』などの著作で知られる日本の珍スポット探訪の第一人者)が等身大フィギュアを買い取られたんですよね。それを横浜トリエンナーレに出展して長蛇の列ができたという」
日本医療史の中でも貴重な解剖模型。なぜかナースは胸をポロリ |
筆者 「ちなみにお値段はいかほどで…?」
松野社長 「そうですねぇ…。まとめて800万円、ということにしておいてください。できたら全部お引き受けいただき、第2の秘宝館として一般の方に見ていただけるような形でご利用いただくのが理想ですが、単品でお譲りすることも考えています。例えば、解剖模型は医療の分野でも非常に貴重なものだということで、公的施設に展示保存してもらえるよう、現在既に調整中なんです」
バイオレンスの極みのアブノーマルコーナー。ロウ人形も制作費はワンセット最高500万円(!) |
筆者 「800万円かぁ…。元値は数十億円だそうですから、ある意味出血大サービスですね。もしも800万円のクルマが買えるくらいのお金があったら迷うところかも。レクサスか秘宝館か、ってそんな究極の選択、してみたい…」
松野社長 「閉館後しばらくしたら施設の取り壊しにもかからなければならないので、できるだけ早めのご応募をお待ちしております!」
というワケで、珍スポット愛好家にとっては、秘宝館を手に入れられるという願ってもないチャンスです(!?)。筆者も「20万円くらいにまけてもらえるなら一体ほしいなぁ」なんて言ってたんですが、残念ながら妻に激しく拒否されてしまいましたが(涙)…。
仮にまとめて買い取るという奇特な方が現れたとしても、ありのままの秘宝館を見られるのは3月末まで。これを逃すともう二度とチャンスはありません。昭和のニッポンの大衆風俗の中で、妖しげなピンク色で異彩を放ちまくった珍スポットの王者・元祖国際秘宝館。その最期の姿を、是非その目で見届けておいてください!
■ 元祖国際秘宝館
・ 所在地:三重県度会郡玉城町世古345
・ TEL:0596・25・2456
・ アクセス:伊勢自動車道玉城ICより約15分。近鉄伊勢市駅前から三交バスで17分、世古バス停下車すぐ
・ 営業時間:9時~18時
・ 休館日:無休(2007年3月31日をもって閉館)
・ 入場料:大人2000円(※18才未満入館不可)
・ Yahoo地図情報
※ 珍スポット情報を随時更新。ガイドの自著PRサイト「バカルト.com」もご覧下さい。
※※ 「秘宝館最期の日」レポも同サイトにアップしました!(07年4月3日)