和甘味+喫茶の発想から生まれた
なごやんスウィーツ・小倉トースト

名古屋の喫茶店に欠かせないメニューのひとつ、小倉トースト。バターもしくはマーガリンを塗ったトーストでたっぷりの小倉あんをはさんだ、名古屋らしい大胆なミクスチャー・フードです。

小倉トースト
一般的な小倉トーストはこんな感じ。オシャレなカフェではあまり見かけないが、市内の昔ながらの喫茶店ではかなりの確率で食べられる
そのルーツは、今はなき市内・栄の喫茶「満つ葉(まつば)」。大正初期、和甘味の店として創業した同店は、その後コーヒーやパンなど舶来メニューも扱うように。そんな折り、常連の学生からの「和の甘味とうまく合わせられないか」とのリクエストに応えて考案したのが、トーストにあんこを乗せる小倉トーストだったのです。

味つけのキモとなるのは、実はバター(またはマーガリン)。小倉あんの素朴な甘みが、バターと混じり合うとくっきりした甘みに。甘みが2層になることで味わいに広がりが出て、なおかつパンとの組み合わせにも違和感がなくなるのです。

この小倉トースト、「カフェ」ではなく、あくまで「喫茶店」の定番メニュー。したがって、スウィーツ好きの若い女性よりもむしろ、隠れ甘党のオジさんからの支持が厚い一品なのです。前回のガイド記事で紹介したあんかけスパ以上に、名古屋限定にとどまっているのは、B級なイメージに加え、ちょっぴり気恥ずかしさをはらんだファン心理に原因があるのかもしれません。

あのキハチがカフェの目玉メニューに
小倉あんトーストを採用!

小倉あんトースト
キハチカフェ・名古屋名鉄店の小倉あんトースト 945円
さて、この小倉トーストを、何と日本を代表する人気レストラン「キハチ」がメニューに採用することになりました!

キハチは、フレンチをベースに世界各国の素材や技法を取り入れたメニューを創作する「無国籍料理」の元祖。近年はレストランだけにとどまらず、ソフトクリーム、ケーキの専門店やカフェなども手がけ、いずれもブームを巻き起こすほどの人気を集めています。

そして、今秋、カフェとしては中部地方初出店となる「キハチ カフェ・名古屋名鉄店」がオープン。その目玉メニューとしてデビューしたのが新メニュー「小倉あんトースト」です!

キハチ・鈴木総料理長
「名古屋名物である喫茶店のトーストをキハチ流にアレンジした自信作です」と鈴木眞雄レストラン部門総料理長
「全国各地を食べ歩きしているムッシュ・熊谷喜八の、『名古屋の喫茶文化の中で勝負するなら小倉あんトーストしかない!』の鶴の一声で採用が決まったのです」とはレストラン部門総料理長の鈴木眞雄さん。

しかし、もともとアカ抜けない喫茶メニューの小倉トーストを、いかにキハチらしく、おしゃれに、そしてとびきりおいしく仕上げるかには、かなりの苦労があったそうです。

「あんこのボリュームにインパクトがあり、それでいて甘さがしつこくなく、トーストのサクッとした食感がある。この3つをすべて両立させることがテーマでした」(鈴木さん)。
そのために、あんこの小豆やパンなど、食材をあちこちから取り寄せては試作をくり返したそうです。

次のページでは筆者が実食、そして東京デビューの可能性も(?)