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明るい夢が家庭を暗くする受験うつ

受験によるストレスで「ノイローゼ気味かな」と思ったら、実はうつ病だったというケースも少なからずあります。キーワードは「プレッシャー」です。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

受験にプレッシャーはつきもの。しかしそれも度が過ぎると……
受験にプレッシャーはつきもの。しかしそれも度が過ぎると……
中学生といえば思春期にあたる難しい年頃。小学生から中学生になることで、勉強面、部活動、友人関係、親子関係などで、悩みやストレスを感じることもあるでしょう。

「高校受験」という、多くの子がプレッシャーを感じる一大イベントでは受験を期に精神的に成長する子もいる反面、受験のプレッシャーに押しつぶされてしまう子もいるように、受験が子どもに与える影響は、良い側面もあれば悪い側面もあります。

とは言っても、「受験そのものがうつ病の原因になる」と決めつけるのは早計なようです。実はその背景にある「親の過剰な期待」こそが、うつ病の原因になっているという事例もあるのです。

受験を期にうつ病に?:一郎君のケース

受験勉強も大切だが、健康はもっと大切
受験勉強も大切だが、健康はもっと大切
一郎君(仮名)は、まじめでおとなしく、成績優秀な中学3年生です。中3の春までの成績では、難関校のA高校の合格間違いないと思われていました。両親も、是非A高校に行かせたいと躍起になっていました。

ところが夏休みを境に、一郎君の成績は少しずつ下がっていきました。そして、冬休みが近づいた頃には、A高校どころか、滑り止めのB高校さえ危ないというところまで成績が落ちてしまいました。

これに慌てたのが、一郎君の母親でした。これ以上成績が下がらないようにと、塾が終わった後、家で両親が一郎君に勉強を教えることにしたのです。英語が得意な母親が英語を、数学が得意な父親が数学を、それぞれ1時間ずつ教えることになりました。

塾が終わるのが10時頃ですから、一郎君はその後さらに英語を1時間、数学を1時間、合計2時間も勉強をしなければいけなくなったのです。こうして、昼間は学校で、夜は塾で、そして家庭では夜中まで勉強という日々が続くようになりました。

事情を知らない塾側は、一郎君が塾を休んだり体調不良を訴えることが多くなり、次第に異変を感じるようになってきました。そして、目に見えて一郎君の顔色が悪くなった頃、両親から事情を聞いてみたところ、夜中まで家庭で勉強をさせているということがわかったのです。

塾側は、受験直前であったにも関わらず、一郎君の両親に「塾の授業を少し休んで、静養するように」と伝えました。また、病院での診察をすすめました。その結果、一郎君は「うつ病」と診断されたのです。

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