今回の行き先は、【山形】 出羽三山の麓、鶴岡で洋館めぐり |
庄内地方の中心をなすのは、北前船の港町として発展を遂げ「西の堺、東の酒田」と称された酒田と、映画『武士の一分』の舞台、海坂藩のモデルにもなった庄内藩の城下町、鶴岡。
出羽三山と呼ばれる羽黒山、月山、湯殿山に囲まれている鶴岡では、明治、大正時代に建てられた洋風建築が今も残り、城下町の面影を残す街の中に違和感なくとけ込んでいます。
今回は、知られざる日本の名所として、鶴岡(Yahoo! 地図情報)に今も残る洋風建築の数々をご紹介します。
かつての鶴ヶ岡城址近くに洋風建築が集まっています
鶴ヶ岡城の本丸跡に建立された荘内神社。庄内藩を長く治めた酒井氏を祀っています(2004年8月撮影) |
お家騒動により最上氏が改易された後、庄内地方を治めた酒井氏は鶴ヶ岡城を中心として城下町の基礎を固めます。以後明治に至るまで約250年間、鶴岡は酒井氏が治める城下町として発展していきました。
しかし明治維新後の廃藩置県で鶴ヶ岡城は廃城となり、濠はほとんど埋められ、建物もすべて取り壊されます。跡地となった鶴岡公園には、すぐに酒井氏を祀る荘内神社が本丸跡に建立され、鶴岡の人々の信仰を集める場所となりました。
実は、鶴ヶ岡城址でもあったこの鶴岡公園の近くに、鶴岡を代表する洋風建築がたくさん集まっているのです。それでは印象に残る鶴岡の洋風建築を順次ご紹介していきましょう。
大正天皇の即位を記念して建てられた大宝館
鶴岡市指定有形文化財となっている大宝館。今は鶴岡に縁のある人々の資料を展示しています(2004年8月撮影) |
当初は物産陳列場や図書館、会議室として使われ、1951年(昭和26年)~1985年(昭和60年)までは市立図書館として使われました。現在は明治から昭和にかけて活躍した鶴岡に縁のある人々の資料を展示しています。
日本で唯一の黒いマリア像がある鶴岡カトリック教会
赤いとんがり屋根が印象に残る鶴岡カトリック教会。日本で唯一の黒いマリア像があります(2004年8月撮影) |
教会の聖堂(天主堂)は1903年(明治36年)に作られたロマネスク様式の建築で、1979年(昭和54年)に国の重要文化財に指定されました。高さは23.7メートルあり、フランスのデリヴランド教会をイメージして作られたものと言われています。
聖堂の中は、朝から夕方まで自由に見学することができますが、ミサやお祈りが中で行われている時もありますので、その場にあったマナーで見学しましょう。
鶴岡カトリック教会には、日本で唯一のものがあります。それは黒いマリア像。フランスのデリヴランド修道院から、デリヴランド教会にある黒いマリア像の複製を聖堂完成の記念に送られたものです。鶴岡カトリック教会のWebサイトにも黒い聖母について紹介されています。
それでは、鶴岡公園の西側に隣接し、洋風建築が移築されている致道博物館へ向かいましょう。次ページに続きます。