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真っ白のボディーが美しい「いちご電車」。途中にある伊太祈曽(いだきそ)駅の車庫から出てきて、出発を待っているところ。 |
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南海電鉄から引き継いだ電車。今なお旧塗装のままで走っている車両もある。 |
JR和歌山駅から郊外に延びる小さなローカル線がある。終点まで乗っても30分ほどののどかな貴志川(きしがわ)線だ。大手私鉄・南海電鉄の支線だったが、赤字続きのため廃止が提案された。困った沿線住民有志は反対運動に取り組み、NHKテレビ「難問解決!ご近所の底力」で全国にアピール。その甲斐あって、廃止は撤回され、貴志川線は南海電鉄の手を離れ、和歌山電鐵として再出発することになった。
見ると楽しい「いちご電車」
2006年4月1日に再スタートした和歌山電鐵は、沿線住民のみならず、遠方からもわざわざ乗りに来てもらえるような魅力ある鉄道を目指した。その第1弾が、沿線の名産品いちごをあしらった「いちご電車」だ。
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いちご電車のマークは、いちごにも電車にも見える優れたデザインだ。 |
この電車は、新車ではない。豊富な資金があるわけではない小さな鉄道のこと。従来の車両を改装したものだが、デザインは、JR九州の「かもめ」や新幹線「つばめ」、岡山電軌の低床式路面電車「MOMO」などで名を馳せた水戸岡鋭治氏が手がけている。
まず外観だが、白いボディーが斬新だ。ドアが真っ赤だが、これはイチゴミルクをイメージしたようだ。車体の至るところに、赤いロゴや文字が書かれている。
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いちご電車のドア付近も賑やかなデザインだ。 |
イチゴそのものといったイラスト、漢字の「苺」を図案化したもの、イチゴのイラストを電車の車体のように図案化したマークなど賑やかだ。「いちご電車」といったそのものずばりの文字があるかと思えば、ICHIGO DENSHAとローマ字で書いてあったり、ICHIGO ECとの表示もある。ECとは英語でElectric Car の頭文字で電車のことだ。停車駅がずらりと、ひらがなやローマ字で並んでいるのもデザイン的でうるさい感じは全くない。
次のページでは、「いちご電車」の車内を紹介しよう。