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上野~札幌1,100km鈍行急行乗継ぎ旅・後編(3ページ目)

連続した5日間、JR東日本とJR北海道の普通列車が乗り放題の「北海道&東日本パス」。青春18きっぷでは乗れない路線にも乗れるこの切符で、上野から札幌まで、鈍行+急行を乗り継いで行ってみた旅行記の完結編。

執筆者:高橋 良算

15年前の旅、追憶の客車列車

このあたりの車窓を眺めていると今から15年前の旅を思い出す。

夏、友人と東北地方を巡っていた時のことである。台風の直撃を受け、乗っていた列車が駅で一晩中足止めを喰らってしまい、予定を大幅に変更せざるを得なくなった。それで仙台から鈍行列車で盛岡へと向かったのだが、当時、まだこのあたりには電気機関車が牽引する「客車列車」がかろうじて残っていた。

通称「レッドトレイン」と呼ばれていた赤い塗装の客車は、台風一過の夏空のもと、北上盆地を快走した。この車両には冷房はない。だから、窓を全開にして、風を受けながら走った。暑かったけれど、気持ちがよかった。夏の旅を思いきり全身で感じることができた。

今乗っているのは、窓の開かないロングシートのワンマン列車だ。もちろん冷房が利いている。どちらが快適かは比べるまでもないだろう。昔を懐かしんでばかりいてもしかたがないけれど、どちらの旅がより思い出に残るのか、それは今のところわからない。


「米の王様水沢米」という大きな看板が車窓を流れる。列車は、北側に防風林を従えた大きな農家が点在する、穀倉地帯を走っている。

金ケ崎駅でシートの端が空いたので、そこへ座らせてもらった。座ると気が緩むのか、たちまち眠った。

盛岡駅
盛岡駅でまた乗り継ぎ大移動
目を覚ますと、速度を落として大きな駅に停車するところであった。どの乗客も降りる体勢になっているのでまさかと思ったが、やはり盛岡駅だ。

ということは、ちょうど1時間ほど眠ったことになる。北上駅も花巻駅も停車したのを知らない。我ながらよくそんなに眠れたものだ。

つながっているのに分断された盛岡駅

南部鉄器の風鈴が下がる盛岡で、9本目の列車に乗り継ぐ。ここから八戸まではJRではなく、第三セクターの路線だ。

もともとは一本の東北本線であったのだが、東北新幹線の八戸開業時に、並行在来線としてJRから経営分離された。しかも、岩手県内と青森県内では別会社である。ただ、今も線路はつながっているから、東京と北海道を結ぶ寝台特急や貨物列車は、そのような区間であっても以前と変わりなく往来している。

盛岡駅
IGRいわて銀河鉄道の乗り場は少しわかりにくい(盛岡)
だが普通列車は厳然と分断されていて、乗り継ぐには一旦2階にあるJRの改札を出なければならない。次に乗る「IGRいわて銀河鉄道」の乗り場は、駅ビルの中を通り抜けた1階で、少々遠くてわかりにくい。

だから、初めて乗る客は必ず迷ってしまう。折しも、若い女性の旅行者が、「北海道&東日本パス」を握りしめて右往左往しているではないか。乗り継ぎ時間が短いから、余計に焦ってしまうのだ。

私は数回来ているので迷うことはないが、ここで弁当を買っておかないといけない、と思い売店に立ち寄ったりしているうちにギリギリになった。まもなく八戸行き発車です、と駅員が叫んでいる改札に慌てて駆け込んだ。


岩手山に襟を正すも、ようやく旅は半分…… >>
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