鉄道/寝台・夜行列車

これで安眠!初めての「寝台列車の旅」講座(3ページ目)

はじめての寝台列車。どの席を買ったらよいの?ちゃんと眠れる?食事はどうする?……など、わからないことだらけですよね。そんな不安を解消して寝台列車の旅を満喫する「キホンのき」をまとめてみました。

執筆者:高橋 良算

開放型B寝台に乗ってみよう!

個室寝台は、ビジネスホテルやカプセルホテルに宿泊するのとほとんど変わりませんから、特に説明はいらないでしょう。しかし、開放型のB寝台は乗り方にちょっとコツがいります。それだけに、開放型B寝台をスマートに乗りこなしている人には、旅慣れた人が多いようです。

そこで、客車二段式の開放型B寝台を例に、はじめて寝台列車に乗る際に役立つ10のポイントを、まとめてみました。

はじめての寝台列車・10のポイント
1)上段と下段、どっちがいい?

上段寝台
上段も下段も一長一短がある
一般的に、人気のあるのは下段です。空席は下段から埋まっていきます。窓口で何もリクエストしなくても、空いていれば通常は下段を売ってくれるはずです。

下段が人気なのは、やはりハシゴを上り下りしなくてもよいからでしょう。また、下段は寝ていない時にベッドに腰掛けることもできますが、上段ではそれは無理です。

客車二段式の場合、寝台の長さ(195cm)と幅(70cm)は上段も下段も同じですが、ベッド面からの高さは下段が111cm、上段が95cm。この16cmの差は意外と大きく、上段では身動きすると頭がすぐ天井にぶつかります。ガイドの身長は170cmですが、上段で正座をして腰をのばすことはできない、といった具合です(座高にもよるかもしれませんが)。

でも、下段は地面から近い分、列車の走行音が大きめです。揺れは上段のほうが若干大きいかもしれません。音や振動などは感じ方に個人差があると思いますが、上段も下段も一長一短があるということはいえるでしょう。

もちろん「乗ったら寝るだけ」と割り切ってしまえば、上段でも下段でも特に変わりはありません。

はじめての寝台列車・10のポイント
2)車両の端は避けよう

安眠のためには、車両内での位置も重要です。これは寝台列車に限ったことではないですが、車両の端(デッキに近い部分)、特に車輪の上あたりは比較的揺れ・振動・騒音が大きい場所です。ですから、この付近はなるべく避け、車両の中央部分をリクエストするとよいでしょう。

以前、空いているのになぜか一番端の寝台が割り当てられたことがあったのですが、車掌さんが「ここはうるさいですから、どうぞ真ん中あたりにお移りください」とわざわざ言ってくれたこともありましたね。

はじめての寝台列車・10のポイント
3)ベッドメイキングの方法

ベッドメイク
ベッドメイクはセルフサービス。まずシーツを敷いて(画像上)、はい完成(画像下)。
すぐ寝なくても、乗車したらまずベッドメイキングをしてしまいましょう。といっても、別に難しいことはありません。シーツを敷き、枕と毛布をセットするだけです。

ただ、スペースが狭く、シーツを敷く時に枕や毛布がじゃまになるので、結構コツがいります。特に上段は大変です。まず枕と毛布を片側に寄せて、半分だけシーツを敷き、枕と毛布を反対側に移動させて残り半分のシーツを整える、というようにするとやりやすいでしょう。

なおガイドの場合、頭を窓側にして寝ます。でも読書灯が通路側についているので、通路側を頭にするのが正解なのかな、という気もしますが、まあどちらでもお好きなほうでよいと思います。

はじめての寝台列車・10のポイント
4)カーテンはぴったりと閉める

寝台のカーテンを閉めたところ
カーテンをぴったりと閉めれば中は見えない
開放型寝台の場合、唯一、カーテンだけが仕切りになります。遮光カーテンですので、閉めてしまえば中が透けて見えるようなことはまったくありません。すき間のないようにぴったりと閉めましょう。

通路側から窓側へ1枚のカーテンを閉めるタイプと、通路側と窓側からそれぞれ1枚ずつのカーテンを引き、真ん中であわせるタイプがあります。

上段では、寝台の縁とカーテンの裾にそれぞれ面ファスナーが付いており、両者をぴったり合わせると、しっかりと閉めることができます。ただ、カーテンを開ける度にビリビリと音を立てるので、静かな車内では音がちょっと気になるかもしれません。

はじめての寝台列車・10のポイント
5)はしごを使う

上段の寝台を上り下りするためのもので、窓側に付いています。はしごは収納式になっていて、取っ手を持って両側にひっぱると、はしごが現れます。上段に人がいる時は、一度はしごをセットしたらそのままにしておきます。上り下りの度に出したりしまったりするようなことはしません。

はじめての寝台列車・10のポイント
6)安全柵をセットする

安全柵
転落防止用の安全柵
下段には転落防止用の安全柵が付いています。座る時にはじゃまになるので初めは収納されていますが、就寝時に引き出して使います。上段には、安全柵の代わりに「安全ベルト」のようなものが付いています。

なお、ガイドは寝相がよいほうではありませんが、今のところ寝台から落下したことはありません(携帯電話などの小物を落としたことはあります……)。

はじめての寝台列車・10のポイント
7)荷物置き場はどこ?

荷物置き場
荷物置き場は廊下の上部分にある
荷物置き場は、通路の上の部分にあります。上段寝台だと手の届くところに荷物があるのですが、下段だと荷物から離れることになりますので、貴重品には注意しましょう。

はじめての寝台列車・10のポイント
8)読書灯

読書灯
寝台内の読書灯
寝台内には読書灯がついています。丸いスイッチを回すかボタンを押すと、蛍光灯と常夜灯が切り替えられるようになっています。蛍光灯は一瞬「故障かな?」と思うくらい点灯に時間がかかることがあります。慌てずしばらく待ちましょう。

はじめての寝台列車・10のポイント
9)通路のイスを使ってみる

通路のイス
ちょっと休むのに使える通路のイス
通路には、引き出して使うイスが設置されています。眠れない時や、景色を眺めたい時などに利用するとよいでしょう。使い終わったらもちろん元に戻してください。ただでさえ狭い通路をふさぐ格好になるので、通行のじゃまにならないように座りましょう。

はじめての寝台列車・10のポイント
10)寝過ごさずに降りられるか?

寝台列車では、夜10時から朝6時くらいまでの間、停車駅があっても車内放送をしません。そのような時間帯に途中駅で降りる時は、寝過ごさないか心配ですね。

でも、たいていは車掌さんが起こしにきてくれます。車掌さんは、どの客がどこで降りるかちゃんとチェックしているのです。でも心配な時は、念のために車掌さんに起こしてくれるよう頼んでおくとよいでしょう。快く引き受けてくれるはずです。



さあいかがでしたか。寝台列車、楽しそうですよね?鉄道旅行の神髄とも言えるのが夜汽車です。その味わいは何ともいえず、一度乗ったらやみつきになってしまうのが寝台列車。ぜひみなさんも寝台列車の魅力を存分に味わってみてください。



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寝台急行『銀河』の夜
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