婚姻関係が破たんしているかどうかの判断はきわめて微妙です。 |
婚姻関係破たん後の関係かどうかがポイント!
夫婦の一方が不倫をした場合、不倫をされた側は、不倫をした側の交際相手に対して、慰謝料請求をすることができます。しかし、不倫の時点で、夫婦関係が破たんしている、つまり、夫婦の関係が修復不可能なほどに冷え切ってしまっている場合には、慰謝料請求は認められません。この事例では、別居の時点で、夫婦関係が破たんしたと考えることができます。そして、彼と彼女が肉体関係を持ったのは、別居以後だということですから、元夫からの慰謝料請求は認められないことになるのが原則です。
裁判所での認定は微妙なところ!?
しかし、そのように杓子定規に白黒つけられるかどうかは微妙なところです。彼が彼女の相談に乗っているうちに、彼女が元夫と別居しているのですから、彼の存在が彼女を別居に駆り立てたとも考えられます。そして、その後、彼と彼女が肉体関係を持ち、いまでは同棲して婚約までしていることを考えると、彼が彼女を意図的に離婚するよう働きかけたと考えるのが自然だともいえるでしょう。そうなれば、夫婦関係が破たんしてしまった原因は、もっぱら彼にあるとも考えられます。
また、そもそも別居以降にはじめて肉体関係を持ったという彼の言い分も、裁判所に信用してもらえない可能性があります。そのような場合には、彼は元夫に対し慰謝料を支払わなければならなくなります。