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「浮気したら毎月30万円支払え」は有効?(2ページ目)

夫が浮気をしました。1度だけ許す条件として、こんど浮気をしたら、離婚の要求を受け入れるとともに、養育費と別に毎月30万円の生活費を支払い続ける、という内容の誓約書にサインさせました。これって法的に有効?

酒井 将

執筆者:酒井 将

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夫婦間の契約はいつでも取り消せる

夫婦間の決まり、法的にはやぶれるけれど……
民法には以下のような条文があります。

(夫婦間の契約の取消権)
第754条 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。


夫の妻に対する誓約書は、夫婦間の契約と評価できます。したがって、この条文によれば、夫は、いつでも誓約書の内容を一方的に取り消せます。そう考えると、この誓約書の効力は非常に弱いものだと思えるでしょう。

しかし、実はそうでもないのです。

実際にはかなり有効!

先ほど、夫は誓約書の内容をいつでも取り消せるので、その効力は弱いと申し上げました。しかし、現実的には、夫婦仲が安泰なうちは、夫は誓約書の取り消しを主張しないでしょう。なぜなら、そのようなことを妻に切り出せば、「それはどういうつもりよ! また浮気するつもりなの!」とまくし立てられてしまうことが容易に予想されるからです。

そうである以上、実際には、誓約書は、夫から取り消しを主張されることなく、契約としての有効性を保ち続けることができるでしょう。したがって、もしも夫が浮気をした場合には威力を発揮することになります。

夫婦関係が壊れてしまったら取り消せない!

最高裁判所の判例によれば、条文の「婚姻中」とは、夫婦関係が破たん(つまり壊れること)した以降は含まれないと解釈されています。

どういうことかというと、夫婦間の契約は、いつでも取り消せるのですが、いったん夫婦関係が壊れてしまうと、それ以降は、夫婦間の契約はもはや取り消せなくなるのです。

もしも、夫がまた浮気をしたら、それで夫婦仲は壊れてしまいます。それ以降は、夫はこの誓約書の内容を取り消すことができなくなります。つまり、また浮気をしてしまった後で、夫が、「誓約書の内容は、夫婦間の契約だから取り消す!」と主張したところで、それはもはや認められないのです。この場合、夫は離婚後、毎月生活費として、30万円を払わなければならないこととなるでしょう。


「浮気したら毎月30万円支払え!」夫の浮気が心配な奥様は、ためしてみてはいかがですか?


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