テーブルコーディネート/テーブルコーディネート関連情報

サントリー美術館、東京ミッドタウンに開館

赤坂見附にあったサントリー美術館が、2007年3月30日より、六本木の東京ミッドタウンに移転しました。初のお披露目となる開館記念展I「日本を祝う」の展示について陶磁器、漆、ガラス、染織の作品を中心にご紹介。

執筆者:長谷川 貴子

開館記念展I「日本を祝う」

赤坂見附にあったサントリー美術館が、2007年3月30日より、グランドオープンした六本木の東京ミッドタウンに移転しました。


藍色ちろり
藍色ちろり 江戸時代 (c)サントリー美術館

「生活の中の美」を一貫としたテーマに、日本人の生活に密着した作品を展示してきた美術館で、ガイドは何度も同館を訪れています。時代を経た本物の器を見ることで、感受性が深められ、月並みな言い方ですが、とても勉強になります。

初のお披露目となる開館記念展I「日本を祝う」の展示は、<祥>・<花>・<祭>・<宴>・<調>という祝祭性にあふれる5つのテーマで構成されています。
今回の展示は、すべて美術館の蔵品によるもので、会場全体からは生きる喜びやパワーが伝わります。新しい美術館の建築や展示空間は、赤坂見附の展示のときとはまたちがった、新たな魅力を引き出しています。それでは、展示内容を順を追ってご紹介いたしましょう。


【祥(しるし)】祝いのシンボル

色絵鳳凰文大皿 肥前・有田 江戸時代
17世紀中頃
(c)サントリー美術館
画面をクリックすると拡大画面が見られます。
日本美術には、祝いにふさわしいめでたい文様があり、長寿や繁栄を願う気持ちは、松竹梅、鶴亀など、さまざまな形にたくされてきました。画像の色絵鳳凰文大皿は、めでたい鳳凰の飛翔する躍動感あふれる姿を中央に配し、バックの地文にも吉祥文の卍や松の文様が見られます。大皿は黒の線描と、赤・緑・青・黄・紫の色で描かれています。


重要文化財「色絵五艘船文独楽形大鉢」
肥前・有田 江戸時代 18世紀後半
(c)サントリー美術館
画面をクリックすると拡大画面が見られます。
青の染付と赤・緑・紫・黒に金彩を加えた文様が鮮やかで、元禄年間(1688‐1704)に始められた金襴手と呼ばれる国内向け最高級色絵磁器の代表的作品です。五艘のオランダ船とオランダ人、ボタンの花が描かれています。作品が作られた当時は、オランダの風物と日本、中国の文様が交じり合った独特の意匠が流行しました。


「切子 藍色船形鉢」
薩摩江戸時代後期 
19世紀半頃
(c)サントリー美術館
画面をクリックすると拡大画面が見られます。
薩摩切子は、幕末の20年たらずの間に薩摩藩のガラス工場でつくられたまぼろしのガラスです。現存するものは、ごくわずかで、この薩摩切子も大変貴重な作品です。この画像の作品は、盃をすすぐ盃洗だったのではないかといわれています。大きく羽を広げた蝙蝠(こうもり)が施されています。蝙蝠という字は、中国では発音が「福」と同じことからめでたいシンボルとされてきました。


次ページで、<花>・<祭>・<宴>・<調>の展示についてご紹介いたします。
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます