10月9日に行われたNTT東日本&NTT西日本からの発表が、ニュースとして大きく取り上げられた。それは・・・
NTT東西、固定電話からIP電話への通話サービスを 10月23日より開始 |
「2003年夏頃を目処に」という年初の予定よりは少々遅れたものの、NTTの対応はさらに先になるだろう、との予測も少なくはなかったようなので、意外に早かったようにも思う。
「固定電話」「IP電話」間の通話については、ちょっとごちゃごちゃしていてよくわからない・・・という人もいたかと思うので、今回はそのあたりを簡単にまとめてみたい。
今の一般的な仕組みは・・・ |
今は、固定電話からIP電話の050番号に電話をかけることはできない。なので、相手がIP電話利用者でも、固定電話からかける場合、050番号ではなく、固定電話の番号をダイヤルして、固定→固定で電話をすることになる。
かなり単純化してしまっているが、簡単にまとめると、下記のようになるだろう。
・IP電話AとIP電話B・・・同じIP電話事業者のネットワークを利用しており相互接続している
・IP電話C・・・IP電話A、IP電話Bとは異なるIP電話事業者で、相互接続されていない
・IP電話AとIP電話Bの通話料は3分8円、IP電話Cの通話料は3分7.5円
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06-xxxx-xxxx/IP→固定/通話料3分8円 03-xxxx-xxxx/IP→固定/通話料3分7.5円 |
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050-xxxx-xxxx/IP→IP/通話料無料
050-xxxx-xxxx/IP→IP/通話料無料
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092-xxx-xxxx/IP→固定/通話料3分7.5円
06-xxxx-xxxx/固定→固定/3分80円
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092-xxx-xxxx/IP→固定/通話料3分8円 011-xxxx-xxxx/固定→IP/通話料3分80円 |
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この4人の中では、IP電話を利用していないまさおは、例え、たかしやゆきこのIP電話番号を知っていたとしても、そこにかけることはできない。で、3分80円の遠距離の通話料を払って電話をしなくてはいけなかった。10月23日以降は、ここが変わる。まさおは、050番号をダイヤルして、3分10.4円~10.8円の通話料で、他の3人に電話をかけることができるようになるのだ。
固定電話→IP電話が開始されてはじめて「半人前」か |
今、IP電話を実際に利用している方の中で、050で始まる自分のIP電話番号を記憶している人はどれだけいるだろうか?個人名刺に刷り込んだり、メールの署名に入れたりして知人・友人に広く告知している人がどれだけいるだろうか?あんまり・・・いや、ほとんどいないと思う。正直、自分も覚えていない。これまでに自分の050番号を伝えた相手も10人はおらず、同じ@niftyフォンや相互接続されているSo-netフォンなどを利用していることをたまたま知った人にだけ、知らせている程度だ。
IP電話を使っていない人/使っていても相互接続していないIP電話サービスの人に教えても、「なんのこっちゃ」という番号だからだ。メッセンジャーを使っていない人に「私のICQナンバーはね・・・」と話すようなものだろう。また、ここ半年程、各プロバイダーが複数のIP電話事業者のネットワークを使ったIP電話サービスを始めたため、もはやどのプロバイダのどのコースのIP電話サービス利用者となら、050番号で通話ができるのか、自分でもよくわからなくなっている。
つまり、こんな状態だ。
- 固定電話にかける時、市内料金はほんのちょっと安いだけ
- 遠距離になれば、かなり安くなるのでラッキー
- 同じ(&相互接続)IP電話サービスの相手にかければ無料なのは知っている
- でも一体、誰が対象なの?
- っていうか、そもそも自分の050番号もほとんどの人に伝えていないんだよな
この状況が、10月23日以降、固定電話からIP電話(050番号)への発信ができるようになると、大きく変化するかもしれない。これまで机の奥にしまわれていた050番号が、表舞台にでてくる可能性が高まる。通話料は3分10円以上なので、市内なら割高になってしまうが、その他であれば一般的に安くなる。なので、「市内通話は割高だけど、それ以外からかける場合はこっちがお得かも」などの注釈付で、050番号を知合いに伝える人が徐々に増えてくるだろう。
そうすると、「あ、実は僕もIP電話を使っているんだ。」「どこ?」「OCNドットフォン」「なぁんだ、これまでも無料で通話できたんじゃん。お互い知らなくて損してたね。」・・・こんな会話もあちこちで交わされるかもしれない。(と、個人的にも期待している)また、よく電話をする相手がIP電話を利用していると知り、導入を検討する人も増えてくるだろう。
【050番号だけわかればIP→IP電話ができるの?】 できない。IP電話の050番号を使っていたとしても、相手も自分と同じIP電話サービスあるいは、相互接続されているIP電話サービスを使っているとは限らないからだ。ここが「一人前の電話番号」たりえない理由だ。面倒だが、相手がどのIP電話事業者(NTTコミュニケーションズやフュージョン・コミュニケーションズなど)を使っているのか、確認する必要がある。 これは、050の次の4桁の番号がわかれば大丈夫。例えば、ソフトバンクBBなら1000~1577だ。下記サイトのように、4桁の番号を入力して、どのIP電話事業者から割り当てられた番号か調べることができるサイトもある。 ∇のいみこらプロダクション「IP電話番号キャリア検索」 |
固定電話からIP電話の050番号にかける場合、いくら? |
詳細については、下記のNTT東日本またはNTT西日本のサイトの発表を確認してほしい。(内容はどちらも同じ)
NTT東日本「固定電話からIP電話(050番号)への通話サービスの提供について」(2003.10.09)
NTT西日本「固定電話からIP電話(050番号)への通話サービスの提供について」(2003.10.09)
3分あたりの通話料金は、通話相手のIP電話事業者(プロバイダではない)によって異なる。
株式会社エヌ・ティ・ティ・エムイー | 10.4円 |
ソフトバンクBB株式会社 | 10.5円 |
フュージョン・コミュニケーションズ株式会社 | |
株式会社ぷららネットワークス | |
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 | 10.8円 |
KDDI株式会社 | |
日本テレコム株式会社 | |
株式会社パワードコム |
この表を見てお分かりの通り、市内料金の3分8.5円よりは高いので、相手が市内であれば、通常の固定電話間の通話にしたほうがよい。しかし県内市外~長距離(割引などない場合20円~80円)と比べると、約半額からそれ以上と、かなり安くなる。
自分も、よく電話をくれる相手が住んでいる場所を考えてゆくと、約1/3の人には050番号を伝えておくことで相手にメリットがありそうだ。もちろんその中には、既にIP電話を導入している人も何人かいるかもしれないが、050番号を教えることで、IP電話利用者を発見することもできそうだ。
・・・今年は年賀状に050番号も付け加えておこうかな。