ウィンタースポーツの宝庫、北・東ボヘミア
山に囲まれたペッツ・ポド・スネシュコウ。右側の背後に少し顔をのぞかせている頂がシニェシュカ山です
フラデツ・クラーロヴェーの大広場
フラデツ・クラーロヴェーはプラハから東へ約100キロにある街です。文字通り「大広場」という高台の上にある大きな広場が街の中心で、市庁舎や聖精霊教会などが並びます。市庁舎の塔には登ることができ、上から街を一望にできます。とくにチェコがオーストリアから独立した1920年代から30年代にかけての第一共和制の時代に大きく発展し、興味深い現代建築が多いことでも有名。工業と大学の街で、ペトロフという高級ピアノはこの街でつくられていました。
ナーホドはフラデツ・クラーロヴェーの南東の方角にある小さな町。13世紀半ばに高台に城が築かれると、町が発展するようになりました。城は16世紀、ルネサンス様式に改築され、今日に至ります。この町には1872年に設立された町営の醸造所があり、プリマトールという上質なビールを造ってきました。最近民営化され、プラハのスーパーなどでも出回り、入手しやすくなりました。
チェコの最高峰はクロコノッシェ山地にあるシニェシュカ山(1602メートル)。麓の街ペッツ・ポド・スネシュコウから山頂へはリフトを使って容易に登ることができます。ポーランドとの国境にまたがる山頂からは、360度のパノラマが開けます。ペッツ・ポド・スネシュコウにはたくさんのリゾートホテルがあり、とくに冬季はスキーなどウィンタースポーツを楽しむ人たちで賑わいます。
素朴な文化を満喫、南モラヴィア
飾らない魅力があるブルノ。足早に観光するよりも、数日、のんびり滞在するのがおすすめです
スラフコフ・ウ・ブルナの宮殿
ブルノの旧市街は鉄道の駅の前に広がっています。1時間もあればぐるりと一周できてしまうほど、旧市街はコンパクト。中心には自由広場という大きな広場があり、市が立ったり、ライブがおこなわれたり、さまざまなイベントがあり、市民の憩いの場となっています。
西側の小高い山の上にはシュピルベルク城があります。もともとは13世紀にさかのぼる城ですが、17世紀のころから監獄として利用されるようになり、第二次世界大戦中はナチス・ドイツによる収容所ともなりました。現在は監獄として利用はされていませんが、一般公開され、当時の様子を見学することができます。
遺伝の仕組みを解明した「メンデルの法則」で日本でもなじみ深いメンデルはブルノの司祭で、エンドウ豆の交配実験をした修道院がメンデル博物館として公開されているほか、ミース・ファン・デア・ローエが設計した近代建築の傑作トゥーゲントハート邸が旧市街の北側にあります。この世界遺産にも登録されたトゥーゲントハート邸は見学の前に予約が必要。
ブルノ近郊にスラフコフ・ウ・ブルナという街があります。ドイツ語名でアウステルリッツといい、ナポレオン戦争のなかでももっとも名高いアウステルリッツの戦い(1805年)の舞台となったことで知られています。一面に草原が広がる古戦場跡には平和記念碑が立ち、この歴史的な戦いをさまざまな展示を通じて解説しています。宮殿を中心に広がるスラフコフ・ウ・ブルナは小さいながらも美しい街です。
ペトロフのワイン蔵。中に入るとワインを寝かせる部屋があります
このほか「モラヴィアの真珠」と賞される世界遺産のテルチや、チェコが生んだ世界的な画家アルフォンス・ミュシャの描いた大作「スラヴ叙事詩」を展示することで知られるモラフスキー・クルムロフなどは日本人が訪れることが多い街です。