チェコ/チェコ基本情報

チェコのエリアガイド(2ページ目)

チェコは大きく首都プラハを中心としたボヘミアと、ブルノを中心としたモラヴィアの二つの地方に分かれています。さらに歴史的な観点から、モラヴィアのポーランドと国境を接するエリアをシレジア地方として区別することがあります。それぞれの地方の代表的な町を紹介し、チェコの多彩な魅力をお伝えします。

執筆者:増田 幸弘

宝石のような小さな街々、南ボヘミア

チェスキー・クルムロフ

赤い屋根が美しいチェスキー・クルムロフの街並み。こぢんまりとした街の細い路地をさまようようにして歩くのがおすすめ


チェスケー

チェスケー・ブジェヨヴィツェの静かな街並み

南ボヘミアはプラハの南、約150キロの街チェスケー・ブジェヨヴィツェを中心とする地方です。プラハと並んで人気のあるユネスコ世界遺産チェスキー・クルムロフがあることから、日本からの観光客にもなじみ深いところ。日帰りも可能ですが、慌ただしくなりがちなので、一泊することをおすすめしたいエリアです。

中心都市のチェスケー・ブジェヨヴィツェは中世にさかのぼる古都で、ドイツ語名はバドヴァイスです。旧市街は広大なオタカル2世広場を中心に広がり、ぐるりとヴルタヴァ(モルダウ)川の支流が取り囲んでいます。ここではブドヴァルというチェコを代表するビールの醸造所もあります。乾燥ホップを使うため、ホップの香りが生きたおいしいビール。醸造所では見学ツアーも催しています。

チェスキー・クルムロフはチェスケー・ブジェヨヴィツェからバスで30~40分のところにあります。中世からルネサンスにかけて繁栄したこの街は、いまもその残影が強く感じられます。クルムロフ城の塔から街を一望にすると、まるで輝く宝石のよう。細い路地をさまよう楽しみのほか、街を流れるヴルタヴァ川をカヌーで下るスポーツも盛んです。

このほかにも「農村バロック」と呼ばれるかわいらしい町並みが広がり、世界遺産に指定されるホラショヴィツェや、15世紀の宗教戦争の軍事的な拠点となったターボルなどの見所もあります。

 

ヨーロッパ古来のリゾート地、西ボヘミア

西ボヘミアはプラハの西側、ピルゼン(プルゼニュ)を中心とした西ボヘミア。プラハからはバスで1、2時間ほどで、日帰り旅行が可能です。

ビールの街として、世界的に知られているピルゼンがあるのもこのエリア。広告などでよく耳にする「ピルスナービール」とは、直訳すると「ピルゼンのビール」という意味。あの透明度の高い黄金色に輝くビールの製法は、ここピルゼンで完成されました。街には、ピルスナー・ウルクェルというチェコを代表する大きな醸造所があります。工場見学では、昔ながらの方法でつくられた、できたてのビールを味わうこともできますよ。市中にあるビール醸造博物館では、ピルゼンの街とビールの関わりを知ることができます。

旧市街は緑地帯に囲まれ、碁盤の目状の路地が広がっています。中心には共和国広場という大きな広場があり、その広場にはゴシック様式の聖バルトロムニェイ教会が建っています。教会の塔は103メートルと、チェコでもっとも高い塔。ルネサンス様式の市庁舎や、ヨーロッパ最大のユダヤ教会(シナゴーグ)なども目を引きます。

テプラ―川とオフジェ川沿いに広がるカルロヴィ・ヴァリは、チェコ最大の温泉保養地。ドイツ名であるカールスバートとしても知られています。14世紀に皇帝カレル4世が狩りの最中に見つけたとの言い伝えがあるこの温泉地は、瀟洒な建物が建ち並び、世界中の人びとが保養に訪れています。街では、吸い口のある独特のカップを手にしてぶらぶらと歩いている人に出会うはず。温泉といっても日本のように湯に入るのではなく、独特の飲泉カップで温泉水を飲みながら散策するのが基本的な楽しみ方。飲泉カップは美しい模様の描かれた陶器製で、形もさまざま。街のあちらこちらで売られています。

西ボヘミアンにはほかにもマリアーンスケー・ラーズニェという温泉町もあります。ドイツ名でマリエンバートといい、フランスの小説家アラン・ロブ=グリエが脚本を書いた映画「去年マリエンバートで」(1961年)の舞台となったことでも知られています。
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