魅力発見!チェコのエリアガイド
南ボヘミアにあるチェスキー・クルムロフ。中世からルネサンスにかけて繁栄した街並みがいまもそっくりそのまま残っています
チェコは首都プラハを中心としたボヘミアと、ブルノを中心としたモラヴィアの大きく二つの地方に分かれています。ボヘミアではビールをよく飲む一方、モラヴィアはワインをよく飲むなど、文化や風習、人間性が大きくちがう、といわれています。さらに歴史的な観点から、モラヴィアのポーランドと国境を接するエリアをシレジア地方として区別することもあります。
チェコは公共交通機関がくまなく発展しているため、主要都市はもちろん、小さな町にも鉄道やバスを利用して行くことができます。しかし、地方へ行くと便数が少なかったり、休日には運行がなかったりと、思ったよりも移動時間がかかることも多いよう。日程には十分余裕を持って計画を立てるようにしましょう。
チェコ観光というとプラハが中心になりがちですが、地方の町も旅程に加えると、旅の印象がずいぶん変わってくるでしょう。そして、日帰りで足早に立ち去るのではなく、できればぜひその町に一泊してみてください。のんびり過ぎていく時間のなかで、素朴なチェコの素顔ときっと出会えるはずです。
歴史の足跡が残る中央ボヘミア
リディツェにある収容所で殺された村の子どもたちの像。不安げな子どもたちの目が胸を打ちます
プラハの街を過ぎると、一面に小麦畑が広がります。チェコ各地で見られる豊かな風景です
クラドノのすぐ近くにあるリディツェという小さな村は第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの手で大人も子どもも住民が皆殺しにされたうえ、建物から墓地に至るまで完全に破壊されたことで世界的に知られる村。破壊されたままの状態で保存されている村の跡を歩くと、胸が痛くなります。現在では、記念館「リディツェ・メモリアル」が整備され、当時の村の様子や破壊の過程が展示されています。
プラハの東にあるクトナー・ホラにはかつて銀山があり、銀貨が製造されていました。13世紀のころから、プラハと並ぶボヘミアの代表的な町として繁栄。銀山で働いた人びとの守護聖人をまつった聖バルバラ大聖堂や、おびただしい数の人骨で装飾された墓地教会などのある旧市街の町並みに、かつての栄華が感じられます。ユネスコの世界遺産に指定されています。