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『家庭排水』を考える。(2ページ目)

今年は深刻な水不足に陥らずに済んでいる、自分の周辺…。でもこの状態を当然と捉えるのか、幸運なことと捉えるのかで「何か」が変わってきます。今回は住まいと水を真面目に考えます。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

なぜ今『家庭排水』を考える?

河原
水不足時期に、枯れ果てた河原を見るのは辛いものがあります。

国土交通省の河川局渇水情報サイトによれば、この夏、現時点において(2007年7月末現在)で水不足に陥っている地域はありません。

しかし私たちの暮らしはちょっとした地震や都市水害などでも「断水」する可能性のある、公共水道に生命線を預けた、「もしも」の時にはトイレの水さえ流せない砂上の楼閣のうえに成り立っています。

そんな脆弱さの反面、「水道の水って不味い」からという理由で、軽々に「美味しい水」を求め、買います。ペットボトルのお茶やジュースと同サイズのミネラルウォーターはだいたい500ミリリットルで100円~200円。ちなみに水道水を100円分買おうと思ったら、ガイド宅のある自治体の場合、621,118ミリリットル(=約621リットル! →2リットルペットボトル入りにして約25ダース分!)買えてしまいます。

ところで、私たちは一人につき1日あたり、約3リットルの水を“飲食用のみとして”必要としているといいます。大地震などの災害への備えとして、『3リットル×家族数×3日分』の飲料水の確保は最低限、各家庭ごとになされておかなければなりません。

4人家族であれば、

●3(リットル)×4(人)×3(日分)=36リットル

になりますが、このために要する水道費って、上の試算によれば、なんと、

●約5円

に過ぎません。20リットル入る備蓄用タンクを2つほど購入するコストはかかりますが、3日に一度この水を入れ替えたところで、一ヶ月にしたところで、50円程度しかかからないことになります。

こんなに本来安く、また安全なはずの水道水を住まいのそこここで……便器をトイレブラシでこするたびに……歯磨きの都度、顔を洗いながら……食器を洗い、鍋を洗い、食材を洗い……浴槽から湯を溢れさせ、さらにシャワーを使いながら……私たちは垂れ流しています。

そのときに使うトイレ用洗剤の値段や、シャンプーの匂いについて思いをはせることはあっても、その排水を、浄化して再度河川に放流して、その川下に住む人々がそれを飲むのだということまでは、なかなか思い至らないのが現状ではないでしょうか。

その上で私たちはのうのうと言っているのです。

「だって水道水って不味いじゃない」と。

・・・

コーヒー
有事の際には、コーヒー一杯、気軽に飲むこともかなわなくなるでしょう。

有事の際、給水車の水に向かって「不味い」なんて言えるものでしょうか。
言えないはずです。
汚水を垂れ流し、その味に文句を言う。この姿勢を、ある種の平和ボケと言わずして、なんというのでしょう。
一度でも目を海外に転じれば、真水を恒常的に上水道から得られる境涯など、ごくごく恵まれ過ぎたものだということが分かります。

いつまでもこんな状態が維持できるものなのでしょうか?
日本にはいつまでも雨が丁度良く降り注ぎ、ダムはなみなみと水を湛え続けるのでしょうか?
私たちは1立方メートルあたり100数十円という安価でいつまでこの安全な水を購入することができるのでしょう?
水道水が飲めなくなったらミネラルウォーターを飲めばいい?
(パンがダメならケーキを食べなさいの原理?)
そんなミネラルウォーターの水源は永遠に美味しい水を湧き出させることが可能なのでしょうか?

・・・

気候も暑く、水の有難味が身にしみる夏の「今」こそ、私たちを取り巻く水の存在とその意味について、思いをはせる好機ではないかと思います。


次回記事では、続けてこの『家庭排水』を半分に(!)減らす3つの方法というものについて、考えてみたいと思います。







【参考文献】
●水問題の重要性に気づいていない日本人 「おいしい水の話」から「酸性雨の話」まで/橋本 淳司(PHP研究所)
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