GoogleによってYouTubeは変わるのでしょうか? |
YouTube買収を狙った大手企業
YouTubeは現在、1日、1億本以上の閲覧数、オンラインビデオ市場におけるシェア、45%を誇る、世界一の動画共有サイトですが、今年に入ってからは常に買収の噂が絶えず、これまでもeBay、Disney、AOLなどの名前が上がっていましたが、11日付けの日経産業新聞によると、ここ数ヶ月の間にも、Yahoo!、Viacom、NewsCorporation、Microsoftなどの幹部が、YouTube本社に訪れ、買収の打診をしていたと出ています。ただ、YouTubeは投稿された動画の事前検閲がないことから、ミュージシャンのビデオクリップや、テレビ番組など、著作権上、問題のあるビデオのアップが絶えることなく、広告を出す企業も少ないため、ビジネススモデルが確立せず、本気で買収する企業はいないのではないか、という声もありましたし、Googleが買収を発表した後にも、疑問を投げかける識者は少なくありません。しかし実際には多くの企業がYouTubeに買収の打診をし、その中でGoogleが16億5,000万ドルという、Googleの歴史の中でも最も高額な金額で買収を達成しています。これには一体、どういった理由があるのでしょう。
大手企業がYouTubeを欲しがった理由とは?
YouTube買収を検討した企業の中には、現在、動画共有サービスを行っている企業と行っていない企業がありますが、単純に考えて、ブロードバンド接続が当たり前となった今、このサービスは著作権問題をクリアできれば、広告収入や、動画の販売など、大きな収益を上げられる可能性を持っています。しかし、それもその市場で1位でなくては、大きな収益を上げるのは難しいでしょう。現在、45%とほぼ半分のシェアを誇るYouTubeに対して、今から新しく同様のサービスを始めるにしても、また既にサービスを行っているサイトがYouTubeを追い抜くにしても、それにはかなりの時間と手間を要します(Googleが運営する動画共有サイト、GoogleVideoにしても市場のシェアはわずか10%です)。であれば、YouTubeを買収し、それから著作権問題をクリアしていった方が早いとの判断があったのでしょう。また、他の企業に買収されてしまうのなら、自分のところでという企業も多かったかもしれません。
今回の買収は両者にとってどんなメリットが?
先週、今回の買収の噂を一番初めに報じた米国のブログ「TechCrunch(リンク先は日本語版)」によると、Googleの創業者の一人、セルゲイ・ブリン氏は、買収を発表した際に「Googleの使命は世界中の情報をオーガナイズすることであり、動画は世界の情報の大事な部分だ。」と語っています。また、YouTubeのCEO、チャド・ハーリー氏は「Googleの広告プラットフォームがYouTubeにピッタリ統合できる点が決め手だった、カルチャーもものすごく似ている」と語っています。Googleにとって最大のメリットは、GoogleVideoと合わせて市場の60%のシェアを持つことになり、今後は、今まではあまり強くなかった動画を利用した広告や新たなビジネスへの展開の足がかりができたという点があげられます。またYouTube側にとっては、Googleの資金と、法務関連のエキスパートを得たことによって、サイトの機能強化に集中できるようになります。YouTubeのCTO、スティーブ・チェン氏も、チャド・ハーリー氏と2人で10日にYouTube上に公開した「A Message From Chad and Steve」と題したビデオの中で「コミュニティー向けの機能強化に専念できる」と買収された意義を語っています。GoogleとYouTubeはそれぞれの弱い部分を補いつつ、動画共有サービスを利用した新たな展開へと向かうための最適なパートナーだといえそうです。
<今回の買収によって両者にデメリットはあるのでしょうか?そして他の動画共有サイトに与える影響は?> |