ファイルの完全消去・復元を行うツール
ハードディスクにデータを上書きしようとした場合、手動で巨大なファイルを作っては削除するということを繰り返すという方法もあるのですが、面倒な上に確実性に欠けます。やはりツールを使って上書きをするほうが楽です。以下のリンク集で、データの完全消去を行うツールやファイルの復元を行うソフトを紹介しています。
インターネットセキュリティ: ディスク完全消去/復元
非常にたくさんの種類がありますので、どれを選んだらいいか迷う方がいるかもしれません。
選定基準として、各ソフトが採用している「消去方式」に注目する方法もあります。「米国国防省標準方式」とか「グートマン方式」などいろいろあります。
これらの違いは、基本的に「上書きを行う回数」に由来しています。
前ページで解説した理屈ならば1回上書きすればもう読めないはずですが、実は1回~数回程度の上書きですと、「磁気力顕微鏡」という特殊な機器を用いて「残留磁気」をアナログ的に読みとることができる可能性があります。
これを防ぐためには上書き回数を増やした方がよいわけでして、中でも最強と言われる「グートマン方式」では総計して実に36回もの上書きを行います。
しかし何度も上書きをしていれば、当然時間がかかります。通常は1回上書きすればファイル復元ソフトによる復元はできなくなりますので、非常にクリティカルな情報を入れたディスクでなければ上書きは1回でいいでしょう。
手順を決め、それを忠実に実施することこそが最も重要
いろいろな情報をご紹介してきましたが、まずはフリーの消去ツールでいいから、PCを捨てたり中古品として売却するときには「必ずハードディスクをフォーマットして、かつツールで上書き消去を行う」という手順をはっきりさせ、それを確実に実施することが何より重要です。
この場合の「フォーマット」とは、パソコンを購入したときの状態(工場出荷状態)に戻すこと、と考えていただければよいかと思います。方法はパソコンごとに異なりますので、付属の説明書などを参考に、作業を行ってください。
最近、このようなニュースも流れました。
MYCOM PC WEB: 中古PC&HDDの7割から情報流出!? 現場のセキュリティ調査で判明
「7割のPC・HDDが未対策」ということは、単純に考えれば、最低限の手順を守っている人は3割程度であるとも言えるわけです。
シンプルで十分。シンプルな対策を確実に実行することこそ真のセキュリティ対策なのです。
日々の生活の中での「地道な実行力」が発揮されることを祈っております。