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「私はいらない人間」涙目で訴えた96歳母。デイサービスは“儲からない客”を切り捨てるのか

96歳の母を在宅介護する60歳の女性。母は週2回のデイサービスを楽しみにしているが、急な体調不良で休まざるをえないこともある。そんなある日、事業所から「利用回数を減らしてほしい」と告げられ……。※画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

人間関係 ガイド

どうして男女は愛し合い、憎み合うのか。日々、取材を重ねつつ男女関係について記事や本に書きつづっている。近年は家族・友人・職場などの人間関係全般や、お金が絡む人間関係のトラブルについても執筆。『くまモン力-人を惹きつける愛と魅力の秘密』など著書多数。

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デイサービスの事業所数が減少し続けているというが(画像:PIXTA)
デイサービスの事業所数が減少し続けているというが(画像:PIXTA)

厚生労働省が7月末に公表した「介護給付費等実態統計」によると、デイサービスの事業所数が4年連続で減少しているという。中でも地域密着型通所介護は1万7780カ所となり、前年から350カ所減少。9年前の平成29年と比べると約12%も減少しているというのだ。

利用者が減ったのかというと、そんなことはない。介護サービス全体の受給者数はむしろ増えている。2026年4月審査分の介護サービス受給者数は484万1200人で、前年同月比1.7%増。要介護1~4はいずれも前年比で上回っている。

地域に密着した、利用者が長く続けられる事業所が減っていることは、在宅介護をしている側にとっても、大きな負担となる。

デイサービスはありがたい存在だが

「96歳になる母親を在宅で介護しているんですが、その年になればいろいろ心身に問題が出てくるものです。でも通所介護の事業所は、個別の対応はしてくれないんですよね……。仕方がないのかもしれないけど」

そう言うのはルリさん(60歳)だ。10年前に離婚し、5年前に母親の借りていたアパートが建て替えとなったのを機に、自宅で同居するようになった。当時はまだ自力で歩けていた母だが、今は杖にすがってトイレに行くのがやっと。ルリさん自身も仕事をしているため、ずっと母に寄りそっている時間はない。週に2回のデイサービスと、週1回の訪問サービスはありがたい存在である。

「まあ、杖にすがってでも、トイレに行ける間は一緒に暮らそうかなと思っています。物忘れは激しくなってきたけど、認知症はほぼないので会話も成立しますし。気が向くと、時々お皿を洗ってくれたりもするので、調子がいいときはいろいろ家事を手伝ってもらっています」

高齢者のことを考えているのか疑問

デイサービスは足腰を鍛える運動が主体のもので、本人も楽しく通っている。だが、これだけ高齢になると、「いつも体調がいい」というわけにはいかない。

「何が原因か分からないけど胃が痛いとか、急に発熱するとか、今の時期だと水分不足によるものだと思うけど熱中症気味になるとか。月に1、2回はデイサービスを休むことがあるんです」

そんな折、事業所から連絡があった。休みが多いのでデイサービスを減らしてほしいというのだ。

デイサービスは、利用者が事業所に通った回数に応じて介護報酬が支払われる仕組みになっている。そのため、利用を休む人が多ければ事業所の収入にも影響する。

事業所の競争も激しくなっているのだろう。「うちに通うのを待っている人たちがいる」と言われてしまった。休む人より、確実に来られる人の方が「金になる」のだとルリさんは感じた。

高齢者にも尊厳はある

その話を母にすると、母は涙目になって「年をとると、いらない人間だと言われちゃうんだね」と寂しそうにつぶやいた。デイサービスで友達ができたと楽しそうだっただけに、ルリさんも言葉をなくした。

「いらない人間」という言葉に、「超高齢者」である母の悔しさがにじみ出ていた。いくつになっても、人間の尊厳は守られるべきではないか、かろうじて保っているであろうプライドを傷つけないでほしいとルリさんは感じている。

「90歳を過ぎてから大病をして、本人も頑張ってリハビリを重ね、ようやく日常生活が送れるようになった。食べる量も多いし、基本的には具合が悪いところはないんです。ただ、一定の体調を保つのが難しい。そこを分かってはもらえないんですかね」

高齢者のための「サービス」というが、事業所もしょせんは福祉ではなく商売なのだとルリさんも母も感じている。そう割り切って利用するしかない。

デイサービスは何のためにあるのか

事業所同士の競争もあるだろうし、事業所だって生き残るために必死である。そういうことは分かった上で、「一人の人間が生きていること、そしてその晩年の人生に関わっていること」に事業所も思いを寄せてほしいとルリさんは言う。

「事業所で働いている人たちは、みんな若いからね。自分の親がここまで年をとったらというところに想像が及ばないんでしょ」

母は諦めたようにそう言った。

大病の影響で、母は外食したり市販の弁当などを食べたりすることができない。事業所では弁当なども売っているのだが、それを購入できないのが実情。穿った見方をする母は、「そういうのも向こうにとっては嫌なんじゃない?」と言った。つまりは「儲からない客」なわけだ。

施設に預けるほど弱ってはいないし、基本的には家で生活ができる。だが社会的孤立を防ぎ、健康を維持するためのデイサービスだと考えるのは誤りだったのかと、ルリさんは日々、悩んでいる。母の行く道は、今を生きる人たち全ての将来なのだ。

<参考>
・「介護給付費等実態統計(旧:介護給付費等実態調査)」(厚生労働省)

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