60代のN子さんは、ゆうちょ銀行の通常貯金に預けている500万円の一部を、定期預金に移そうと考えています。金利が上がってきたことを知り、「せっかくなら、少しでも有利な条件で預けたい」と思ったのがきっかけです。
ところが、いざ調べてみると、1年、2年、3年、5年……と預入期間はいくつもあります。さらに、銀行によって金利も違います。「何年にするかも迷うし、どこに預けるかも迷う……」と悩んでしまいました。今回は、定期預金の預入期間と預け先を決めるまでの考え方をご紹介します。

「長く預ければお得」とは限らない?
定期預金は、あらかじめ預入期間を決めてお金を預けることで、普通預金より高い金利が適用される商品です。預入期間は銀行によって異なりますが、1年、2年、3年、5年などから選ぶことができ、長い期間ほど金利が高く設定されています。
N子さんは、最初「どうせなら長く預けて、できるだけ高い金利を受け取ったほうがいいのでは?」と考えました。しかし、定期預金は満期前に解約すると、当初の金利ではなく低い中途解約利率が適用されます。また、多くの商品は一部解約ができません。
「1年後には家電を買い替えるかもしれない」「もしかしたら、突然、お金が必要になるかもしれない」。そこでN子さんは、500万円の使い道を整理することにしました。
N子さんが選んだのは「1年」と「5年」の組み合わせ
N子さんは、今後数年間のお金の予定を考え、次のように整理しました。
まず、いつでも引き出せるようにしておく「生活防衛費」を決めます。生活防衛費とは、病気やケガ、家電の故障、住宅の修繕など、いつ必要になるか分からない支出に備えて、すぐに引き出せる状態にしておくお金です。N子さんは200万円を通常貯金に残すことにしました。
次に、残りの300万円を2つに分けます。1年後に使う可能性があるお金は100万円。5年間使う予定のないお金は200万円。こうして「1年定期」と「5年定期」という2つの選択肢が浮かび上がったのです。
銀行ごとの金利を比較する
ここで気になったのが、銀行ごとの金利です。
2026年8月時点で、N子さんがいつも使っているゆうちょ銀行の定期貯金は、1年ものが年0.5%、5年ものが年1.0%です。ゆうちょ銀行は、窓口で相談できる安心感もあります。
一方、ネット銀行のオリックス銀行では、2026年8月時点で、新規口座開設者限定の「eダイレクト定期預金優遇金利プログラム」があり、1年ものは年1.65%、5年ものは年1.75%です。
同じ定期預金でも、銀行によって金利は大きく異なります。
N子さんは、預入期間だけでなく、金利や利用条件も確認して、預け先を決めることにしました。
100万円なら1年、200万円なら5年に
N子さんの最終的な決断は、次のとおりです。
・通常貯金(生活防衛費):200万円
・ゆうちょ銀行の1年もの定期貯金:100万円(年0.5%)
・オリックス銀行の5年もの定期預金:200万円(年1.75%)
1年後に満期を迎える100万円は、その時点で使い道を考えます。使う予定がなければ、改めて定期預金に預け直すこともできます。
一方、200万円は「5年間は使わない」と決めたため、より金利の高いオリックス銀行の5年定期に預けることにしました。
それぞれの利息は次のとおりです。
●ゆうちょ銀行
定期貯金に100万円を1年間預けた場合(年0.5%)
・1年後の税引き後利息:約3984円
ゆうちょ銀行は、預入期間3年未満は単利計算、3年以上は複利計算です。
●オリックス銀行
eダイレクト定期預金優遇金利プログラムに200万円を5年間預けた場合(年1.75%)
・5年後の税引き後利息:約14万5070円
オリックス銀行は、預入期間2年以下は単利計算、3年以上は複利計算です。
なお、優遇金利を利用するには、口座開設日から翌々月の末日までに定期預金を申し込むなどの条件があります。金利だけでなく、利用条件も確認が必要です。
「金利が高い」だけで決めない
N子さんは、最初は「金利が高い銀行に、できるだけ長く預けるのが一番得なのでは?」と考えていました。
ところが、預入期間を調べ、定期預金は中途解約すると当初の金利が適用されないことや、商品によっては一部解約ができないことを知るうちに、考え方が変わりました。
さらに、「1年後には家電を買い替えるかもしれない」と、自分のお金の予定も思い出しました。
そこで、「何年預ければ金利が高いか」ではなく、「このお金は何年使わないのか」を先に考えることにしたのです。
そのうえで、銀行ごとの金利や預入条件を比較する。そうすれば、金利だけに振り回されず、自分に合った預け先を選べます。
金利が上昇している今だからこそ、預入期間だけでなく、お金を使う時期と預け先までセットで考えることが大切です。







