
日本銀行(日銀)が利上げを進めると、銀行の預金金利や住宅ローン金利が上昇しますが、生命保険にも少しずつ影響がおよびます。
特に関係が深いのが、終身保険や個人年金保険など、保障と貯蓄の両方の性格を持つ商品です。金利が上昇すれば、保険会社の運用環境が改善し、新しく販売される商品の魅力が高まる可能性があります。
ただし、「金利が上がったから古い保険を解約して、新しい保険へ乗り換えよう」と考えるのは早計です。生命保険は預金のように簡単に乗り換えられる金融商品ではありません。
金利上昇が貯蓄型保険にプラスになる理由
生命保険会社は、契約者から受け取った保険料を国債などで運用しています。金利が上昇すれば、以前より高い利回りで運用できる資産が増え、保険会社にとって運用環境の改善につながります。
そこで重要になるのが「予定利率」です。予定利率とは、保険会社が契約者から預かった保険料をどの程度の利回りで運用できるかをあらかじめ見込み、その分を保険料に反映する際に使われるものです。
一般的には予定利率が高くなるほど、同じ保障内容なら保険料を抑えやすくなります。また、貯蓄性のある商品では、受け取れる金額との関係でも重要になります。
金利上昇が続けば、新たに販売される終身保険や個人年金保険などで、予定利率の引き上げや商品内容の改善が行われる可能性があります。
すでに加入している保険はどうなる?
ここで注意したいのが、すでに加入している生命保険です。一般的な生命保険では、契約時の予定利率をもとに保険料などが決められています。そのため、市場金利が上昇したからといって、既存契約の予定利率まで自動的に上がるわけではありません。
「新しい保険の方が条件が良さそうだから」と、現在の保険をすぐに解約するのもおすすめできません。特に、金利が比較的高かった時代に契約した貯蓄型保険は、現在販売されている商品より有利な条件になっている場合があります。いわゆる「お宝保険」と呼ばれる契約です。
自分がいつ加入し、どのような条件になっているのかを確認してから判断することが大切です。
乗り換える前に「解約返戻金」を確認
貯蓄型保険を見直す際に確認したいのが、解約返戻金です。終身保険などを途中で解約すると、契約期間によっては、それまで支払った保険料より少ない金額しか戻ってこないことがあります。
新しい商品の予定利率が高いからといって乗り換えても、現在の保険を解約することで大きな損失が発生すれば、結果的に不利になる可能性があります。
また、新しい保険へ加入する際には年齢が上がっているため、保険料が高くなることもあります。健康状態によっては、新しい保険へ加入できないケースも考えられます。
保険と預金は目的が違う
預金金利が上昇すると、「貯蓄するなら保険と定期預金のどちらがいい?」と迷う人もいるでしょう。ただし、両者の目的は異なります。
預金は必要になったときに比較的自由に引き出せる一方、生命保険の基本的な役割は、死亡や病気など万一の事態に備えることです。貯蓄型保険には資産形成の機能もありますが、途中で自由に引き出すことを前提とした商品ではありません。
まず「保障が必要なのか」「お金を貯めたいのか」を分けて考えると、商品を選びやすくなります。
金利上昇は「保険を確認するきっかけ」に
金利上昇によって生命保険を取り巻く環境が変われば、新しい商品の条件が良くなる可能性があります。ただし、それだけを理由に現在加入している保険を解約する必要はありません。
まずは保険証券や契約内容のお知らせなどを確認し、保障内容、保険料、予定利率、解約返戻金などを把握してみましょう。
生命保険は一度加入すると、そのまま何年も見直さない人も少なくありません。金利上昇を「すぐに乗り換えるタイミング」と考えるのではなく、自分が加入している保険の内容と、自身の健康状態を改めて確認する機会として活用してみてはいかがでしょうか。







