
韓国ではこれまでもさまざまな日本のカルチャーが注目されてきたが、今最も人気があるのは「ギャル語」だ。 何がきっかけで知られることになったのか。2026年上半期、韓国で最も流行したネットミームを紹介しよう。
SNSで拡散された「巨済ヤッホー」とは
数カ月前から、Instagramのリールに「갸루(ギャル)」というテロップ、そしてパラパラを踊るアイドルの動画があがってくるようになった。それも頻繁に。
韓国で「ギャル」と「パラパラ」が注目されているらしいことに気付いて調べてみると、アイドルグループRESCENE(リセンヌ)に所属する日本人メンバーのミナミが火付け役だった。
ミナミといえば、2021年から2022年に放送されたオーディション番組『放課後のときめき』に出演していた日本人メンバーだ。筆者もこの番組を視聴していたので、当時14歳だった彼女の奮闘ぶりは記憶に新しい。ファイナルで脱落したものの、その後デビューのチャンスをつかんだ。5年後、19歳になった今年、韓国社会でネットミームを生み出すことになったその人だ。
彼女がメンバーのウォニのYouTubeチャンネルでギャル語を披露したところ、これが人気に。ギャルファッションに身を包んだミナミがパラパラを踊る動画もまたたく間に話題になった。
特に、ウォニの故郷である巨済島(慶尚南道巨済市に位置する島)を訪れた際に叫んだ「巨済(コジェ)ヤッホー」というギャル風のあいさつはネットミームに。この動画は爆発的に拡散され、「ギャル」文化が一気に韓国で知られるようになった。
この影響を受け、思いがけず巨済の地が注目を浴びることとなり、夏休みの休養先として巨済島を選択する人が増加。ここまでくればもはや社会現象だ。筆者の友人も夏休みの家族旅行に巨済を選んだ。青い海をバックに、家族全員でギャルピースでキメる写真がSNSにあがってきたばかりだ。当然のことながら「巨済ヤッホー」という言葉が添えられていた。
注目を集める日本のギャル語
韓国では数年前から2000年代のファッションやヘアメイク、音楽などをリバイバルさせたY2Kレトロがブームだ。ミナミが持ち込んだギャル文化は、ちょっぴりレトロ感のあるものをおしゃれと感じる韓国の若い世代にも、イケているものとして映ったようである。なかでも特に話題となり、実際に中高生がまねするほど人気になったのがギャル語だ。
ミナミは動画で1990年代半ばに日本ではやった「チョベリバ」や「チョベリグ」などといった言葉も紹介しており、「ヤッホー」とともに一気に広まった。ギャル語が注目を浴びた背景には、そもそもY2Kカルチャーが人気であったこと以外にも、次々と新造語が誕生し、消費される韓国ならではの事情が影響していると考えられる。
韓国では毎年多くの新造語が誕生しているが、それらの特徴は、どれも短く、リズム感ある発音ということ。一言で感情やその場の雰囲気を表現できるものが多く、ギャル語は新造語に通ずるものがある。気軽にノリよく使え、微妙な感情も伝えられる魅力的な海外の言葉として映ったのも理解できる。
ウォニのチャンネルでは、ミナミとウォニが日本でギャルと交流する様子も撮影されている。筆者も興味深く視聴したが、たとえ日韓双方の言葉が分からなくても、ギャル語でなら交流できてしまうような、「若い言葉のパワー」を感じさせられた。ギャル語を使いこなすギャルのマインドにも、国境を軽く越えていけるような力強さがあり頼もしく感じた。ギャルの再発見とでも言おうか……。
それにしても「巨済ヤッホー」という何気ない一言で、日本のギャル文化が韓国で広く知られることになろうとは、誰が想像し得ただろうか。韓国ではこれまでも多くの日本のカルチャーが注目されてきたが、きっかけが何であろうと、日本の言葉や文化に関心を持ってもらえるのはありがたいことである。
2026年最も注目したいガールズグループ
さて、ミナミ属するRESCENEだが、彼女たちがデビューしたのは2024年。韓国で広く知られるようになったのは、2026年に入りミナミのギャルコンセプトと「巨済ヤッホー」がSNSでバズって以降、つい最近のことである。
デビュー後まもない頃に発表した『LOVE ATTACK』という楽曲は、2年を経た今年、音楽チャートの上位に浮上。7月に発表された『Pretty Girl』(原曲:KARA)は、現在、各種音楽チャートで上位にランクインしており好調だ。
活躍は観光の分野にも及ぶ。 RESCENE人気のきっかけとなった「巨済ヤッホー」の巨済市を筆頭に、メンバーの故郷の慶州市、水原市の観光広報大使に立て続けに任命されている。あまり知られていなかったグループから、もはや誰もが知る人気グループへ。 RESCENEは名実ともにトップガールズグループの座に躍り出た。快進撃である。
まだミナミを、RESCENEを知らないという人は、まずは韓国で話題になった「巨済ヤッホー」の動画から視聴してみるのはいかがだろう。日本の文化が海外のコンテンツで紹介される様子を見てみるのも面白い。
韓国では、まだもう少し、「ギャル」人気が続きそうだ。







