
「顔を見るだけでイライラする」「話しかけられるのもイヤ」「夫の生活音まで気になる」
更年期(閉経前後10年間のことを指し、一般的には45歳~55歳頃)を迎えた女性から、これらの相談を受け、「私、もう夫のことが嫌いなのかもしれません」と打ち明けられることがあります。その言葉を聞くたびに、筆者はこんな風に答えています。「『更年期だから離婚』ではなく、更年期だからこそ夫婦の向き合い方を変える時期なのかもしれませんね」と。
実際、更年期をきっかけに熟年離婚を選んだ人もいますが、その一方で、「もっと早く気付いていれば、違う結論に至ったかもしれない」と振り返る人も少なくありません。今回は、更年期に熟年離婚を経験した女性が、その後に気付いた3つのことをご紹介します。
目次
事例1.「夫の言葉」に強い怒り→離婚
Aさんは、更年期に入ってから夫の何気ないひと言にも強く腹が立つようになったといいます。
「出掛けるって言ったけれど、オレの食事は?」「たまには部屋を片付けたら?」といった、以前なら気にならなかった言葉の数々にカチンときて、涙を流すこともあったそうです。やがてAさん夫婦は「価値観の違い」を理由に離婚を決断しましたが、数年後にこんなことを話してくれました。
「夫だけが原因だと思っていました。でも、私は何年も自分を休ませようとしていなかったのも事実です。おそらく自分自身が限界だったんです」
岡野あつこのアドバイス
更年期は、心も体も大きく変化する時期です。だからこそ、夫を変えようとする前に自分を休ませる時間をつくることが大切です。
自分を休ませるために今日からできることとしては、「1人で散歩する」「お気に入りのカフェを見つける」「家事を少し手放す」といった、自分だけの時間をつくる工夫です。
「頑張らない日」をつくることも、更年期には必要です。
事例2.「夫婦」ではなく「親」のまま→離婚
Bさんは、長年、子ども中心の生活を送ってきたといいます。夫との会話は、子どものことやお金のことばかり。子どもが独立して夫婦2人きりの生活に戻ったとき、「何を話せばいいのか分からない」「2人で話すことが何もない」などと感じたそうです。
もちろん、それだけが原因ではなかったものの、熟年離婚をした後、「もっと早く夫婦として話す時間を持てばよかった」と振り返っていました。
岡野あつこのアドバイス
更年期は、子育てが一段落する時期と重なることも多いため、「父親と母親」から「夫と妻」に戻る時間を意識してつくることが大切です。
夫と妻に戻るために今日からできることは、「月に一度は2人で外食する」「昔2人で行った場所へ行く」「パパやママではなく、互いに名前で呼び合ってみる」というような小さなことです。ほんの少し恋人時代を思い出すだけでも、夫婦の空気は変わります。
事例3.「関係修復は手遅れ」と思い込む→離婚
「更年期をきっかけに離婚しました」と語るCさんは、離婚してから穏やかな生活を送っている様子でしたが、あるときこんな思いを打ち明けてくれました。
「もっと早く、寂しい、つらい……といった自分の感情を素直に夫に話せばよかったと思っています。あの頃の私は、自分の仕事はもちろん、家事や子育てについても、夫にはいつも怒ることしかできなかったんです」
岡野あつこのアドバイス
更年期は、心に余裕がなくなり、感情が先に出やすくなることも。とはいえ、夫婦関係とは分けて考える意識が必要です。
夫婦関係を変えるのに遅すぎることはありません。「今さら恥ずかしい」という人も多いですが、例えば「テレビで見たんだけど、更年期のときって夫婦の向き合い方が大事なんだって」と切り出してみて、夫婦の話し合いのきっかけにしてもいいのです。
更年期は夫婦関係を見直すタイミング
更年期は、女性の心と体が大きく変わる時期です。だからこそ、夫への見え方が変わることもあります。そんな変化をすべて「愛情がなくなったから」と決めつける必要はありません。更年期は、「このままでいいの?」と人生を見つめ直す時期でもあるからです。
その問いは、夫婦関係を終わらせるためではなく、より心地よい関係へ育て直すためのきっかけになることも少なくありません。離婚という選択をする人もいれば、向き合い方を変えることで穏やかな夫婦関係を取り戻す人もいます。
大切なのは、焦って結論を出さないこと。まずは自分の心と体をいたわりながら、「これからの私」と「これからの夫婦」をゆっくり考えてみませんか? 人生100年時代。更年期は終わりではなく、新しい夫婦の形を見つけるスタートラインともいえるでしょう。







