老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、70歳から年金を受け取りたい人が、月収60万円で働き続ける場合の年金の扱いについて解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:70歳から年金を受け取りたいのですが、月収60万円で働き続けている場合、どのくらいもらえますか?
「今月で70歳になる男性です。現在も働いており、月60万円ほどの報酬があります。退職は72歳を予定しています。70歳から年金を受け取りたいと思っていますが、どのくらい受け取れるのでしょうか。厚生年金は46年前から加入しています」(まるちゃんさん)

A:70歳から年金を受け取ることはできますが、働きながら受給する場合は在職老齢年金の影響を受ける可能性があります
65歳から受け取る老齢年金を70歳まで繰り下げると、原則として年金額は42%増額されます。これは1カ月につき0.7%ずつ増額されるためです。
ただし、まるちゃんさんの場合は注意が必要です。
65歳以降も月60万円程度の報酬で働いていたとのことですので、在職老齢年金制度によって老齢厚生年金の一部が支給停止されていた可能性があります。
在職老齢年金制度とは、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に、給与(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の報酬比例部分の月額の合計額が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる仕組みです。
2026年度の支給停止基準額は月65万円ですが、まるちゃんさんが65歳から69歳だった頃は、現在より低い基準額が適用されていました。そのため、老齢厚生年金の額によっては、長期間にわたり一部が支給停止されていた可能性があります。
そして重要なのが、在職老齢年金制度によって支給停止となった老齢厚生年金は、繰り下げ受給による増額の対象にはならないことです。また、後からまとめて受け取ることもできません。
そのため、「65歳から70歳まで繰り下げたので年金額が全て42%増える」というわけではなく、実際の増額効果は想像より小さくなる可能性があります。
なお、老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象ではありませんので、働いていても支給停止にはなりません。
また、70歳になると厚生年金保険料を支払う必要はなくなりますが、会社員として働き続ける場合は在職老齢年金制度の対象となる場合があります。
実際に受け取れる年金額は、過去の給与や賞与、厚生年金の加入記録によって大きく異なります。また、65歳以降に在職老齢年金でどの程度支給停止されていたかによっても、70歳から受け取る年金額は変わります。正確な受給額を知りたい場合は、一度年金事務所で試算してもらうことをおすすめします。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






