老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、63歳から繰り上げ受給した場合、その後に支払う厚生年金保険料がどう扱われるのかについて解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:61歳会社員です。63歳から繰り上げ受給すると、その後の厚生年金保険料は無駄になりますか?
「61歳の会社員です。64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給できる予定ですが、このまま働きながら63歳から年金を繰り上げ受給したいと思っています。繰り上げ受給をすると、63歳以降に支払う厚生年金保険料は無駄になるのでしょうか?」(ゆうさん)

A:63歳から繰り上げ受給しても、その後に支払った厚生年金保険料は年金額に反映されます
63歳から年金を繰り上げ受給しながら働き続けた場合でも、その後に支払う厚生年金保険料が無駄になるわけではありません。
63歳以降も会社員として厚生年金に加入して働いた期間や給与は、65歳時に再計算され、老齢厚生年金額へ反映されます。
さらに、65歳以降も厚生年金に加入して働いている場合は、「在職定時改定」により、毎年10月に年金額が見直されます。9月1日の基準日に厚生年金に加入していれば、前年9月から当年8月までの加入実績が反映され、働いて保険料を納めた分だけ、年金額が少しずつ増えていく仕組みです。
そのため、63歳以降に支払う厚生年金保険料が掛け捨てになることはありません。
ただし、繰り上げ受給には注意点もあります。
繰り上げ受給をすると、老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則として同時に繰り上げとなり、受給開始を早めた分だけ年金額が減額されます。この減額率は一生変わりません。
2026年時点では、1962年4月2日以後生まれの人の減額率は、1カ月受け取りを早めるごとに0.4%です(1962年4月1日以前生まれの人の減額率は0.5%)。
例えば、65歳から受け取る年金を63歳から受給する場合は、24カ月早めることになるため、
0.4%×24カ月=9.6%
の減額となり、その減額率が一生続きます。
また、ゆうさんは64歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れる予定とのことですので、生年月日によっては、特別支給の老齢厚生年金も繰り上げの対象になります。
特別支給の老齢厚生年金を本来より1年早く63歳から受け取る場合は、
0.4%×12カ月=4.8%
減額された金額で受け取ることになります。
さらに、働きながら年金を受け取る場合は、「在職老齢年金制度」にも注意が必要です。
老齢厚生年金の基本月額と、給与や賞与をもとにした総報酬月額相当額の合計が、支給停止基準額(2026年度は月65万円)を超えると、超えた分の半額について老齢厚生年金が支給停止されます。
この支給停止分は、後から戻ってくるわけではありません。
そのため、繰り上げによる減額、一方で働き続けることによる年金増額の両方を踏まえて、ご自身の働き方やライフプランに合わせて判断することが大切です。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






