老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、特別支給の老齢厚生年金を受給中の人が、65歳からの老齢年金を繰り下げできるのかについて解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:63歳女性です。特別支給の老齢厚生年金を受給中ですが、今から繰り下げ受給に変更できますか?
「1962年12月生まれの63歳、一人暮らしの女性です。特別支給の老齢厚生年金を受給しながら働いています。非正規雇用の期間が長く、年金額が少ないため、65歳からの老齢年金は繰り下げたほうがよかったのではと思っています。今からでも繰り下げ受給はできますか? また、1年繰り下げた場合、年金はどのくらい増えますか? 特別支給の老齢厚生年金はどうなるのでしょうか?」(お気楽さん)

A:特別支給の老齢厚生年金を受給していても、65歳からの老齢年金は繰り下げ受給を選ぶことができます
特別支給の老齢厚生年金は、65歳になるまで受け取る年金です。一方で、65歳から始まる本来の「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」は、別の制度として扱われます。
そのため、現在、特別支給の老齢厚生年金を受給していても、65歳から受け取る老齢基礎年金・老齢厚生年金については、今からでも繰り下げ受給を選ぶことができます。
ただし、特別支給の老齢厚生年金そのものを繰り下げて増額することはできません。特別支給の老齢厚生年金は、65歳になる前月分で終了します。
65歳以降の老齢年金を繰り下げる場合は、1カ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額されます。そのため、1年間(12カ月)繰り下げると、年金額は約8.4%増える計算になります。
一度増額された年金額は、その後一生涯続きます。
ただし、繰り下げ期間中は、繰り下げた年金を受け取れません。そのため、65歳以降の生活費を、仕事の収入や貯蓄で無理なく賄えるかが大切な判断ポイントになります。
また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は、それぞれ別々に繰り下げることも可能です。
例えば、「老齢基礎年金は65歳から受け取り、老齢厚生年金だけを繰り下げる」といった受け取り方もできます。逆に、老齢厚生年金を先に受け取り、老齢基礎年金だけを繰り下げることも可能です。
さらに、配偶者がいる場合は「加給年金」にも注意が必要です。厚生年金の加入期間が20年以上あり、65歳未満の配偶者など一定の条件を満たす場合は、老齢厚生年金に加給年金額が上乗せされます。
ただし、老齢厚生年金を繰り下げると、その期間中は加給年金も支給停止となり、加給年金自体が増額されることもありません。そのため、場合によっては「老齢厚生年金は65歳から受け取り、老齢基礎年金のみ繰り下げる」という方法が有利になるケースもあります。
繰り下げ受給は、年金額を増やせるメリットがある一方で、受給開始までの生活費や健康状態なども考慮する必要があります。ご自身の働き方や家計状況に合わせて、無理のない受け取り方を検討するとよいでしょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






