老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を繰り下げ中に働いている場合、在職老齢年金制度がどのように適用されるのかについて解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:66歳で年金の繰り下げ受給を選びました。働きながら繰り下げ中の場合、在職老齢年金の計算はどうなりますか?
「65歳になったとき、年金を繰り下げることにしました。66歳の今も働いていますが、働きながら繰り下げている場合の計算がよく分からなくて困っています」(Tさん・60代)

A:繰り下げ中で受け取っていない老齢厚生年金も、在職老齢年金制度の対象になります
60歳以上の人が、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く場合、老齢厚生年金の報酬比例部分の月額(基本月額)と、給与や賞与をもとにした総報酬月額相当額の合計が、支給停止基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止されます。これを「在職老齢年金制度」といいます。
2026年度の支給停止基準額は月額65万円です。総報酬月額相当額には、給与だけでなく、残業代、通勤手当、住宅手当、賞与を12カ月で割った金額なども含まれます。
Tさんのように、老齢厚生年金を繰り下げてまだ受け取っていない場合でも、繰り下げ期間中の老齢厚生年金は在職老齢年金制度の対象になります。
繰り下げ受給をすると、年金は1カ月繰り下げるごとに0.7%増額されます。ただし、在職老齢年金制度によって支給停止となった部分については、繰り下げによる増額の対象にはなりません。支給停止となった部分は、あとから支給されることもありません。
つまり、「本来受け取れるはずだった老齢厚生年金」のうち、在職老齢年金によって支給停止となっていた部分は、あとから繰り下げ加算されないということです。
一方で、支給停止されていない部分については、繰り下げた期間に応じて増額されます。
また、65歳以降も厚生年金に加入して働いている人は、基準日の9月1日に厚生年金に加入している場合、「在職定時改定」により、毎年10月に前年9月から当年8月までの加入実績が年金額に反映されます。そのため、働きながら厚生年金に加入することで、将来の老齢厚生年金額が増える可能性もあります。
繰り下げ受給と在職老齢年金制度は、どちらも年金額に影響する仕組みのため、実際の受取額は給与額や働き方によって変わります。年金事務所やねんきんダイヤルで試算してもらいながら、受給時期を検討すると安心です。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






