
明治安田総合研究所の「恋愛・結婚に関するアンケート調査」で、18歳から54歳の未婚者の76.3%が「交際相手はいない」と回答した。未婚者のうち「結婚したい」と答えたのは36.8%で前回調査より10.5ポイント低下している。結婚したくない理由として、女性は「結婚の必要性を感じない」、男性は「自由に使えるお金が減る」と挙げている。
興味深いのは、このニュースに対するコメントが4500件近くあること。そしてコメントも多種多様であることだ。
孤独に追いやられる人々
実際に子育て中の人からは、「昔だったら普通にできた結婚、子育てが、今の時代にはお金がかかり過ぎてつらい」という意見もあった。物価高騰に比して収入が上がらない中、やはり「生活が苦しい」人が多いのだろう。
「周りを見ても高収入の人は結婚しているが、そうでないと結婚できない」という声も多い。
「かつては結婚すると、男は家事をしなくていい、女は働かなくていいという生活が待っていた。今はどちらも実現しない。男女ともに働き、家事をするくらいなら一人でいた方がマシ」ニュースを読んでそう言ったアラフォー独身男性もいる。
こういったニュースは、必ず「女性の社会進出が進んで自立したから」とか「たくましい女性に比して、男性は頼りたがる」などの意見が浮上するが、必ずしもそうとは言い切れない。女性の社会進出が進んだとはいえ男女の賃金格差はなくなっていないし、そもそも公務員や大企業勤務でない限り、一人で生活するに足りるほどの収入すらないのだから。
「以前と同じような買い物をしても5割増しで高くなっていると感じる」という物価高騰が、人々をどんどん孤独に追いやっているのではないだろうか。
婚活はしているけれど
「契約社員、一人暮らし。余裕はないです。それでも婚活はしているんですけどね」
シズカさん(37歳)はきれいにジェルネイルされた指元を見ながらそう言った。一見、余裕がありそうだが、「洋服は古着屋で売買、夕飯は冷凍宅配で無駄を出さずに家計を抑えて」いるという。助かるのは農業を営む実家からお米を送ってもらえること。
「東京近郊で家賃を払って一人で生活するのは本当に大変。特別な能力があれば別だと思うので、ここ1年、とある国家資格をとるために勉強しています。でも専門学校に通う余裕はないから独学。あと2年頑張って40歳前には資格をとりたい」
結婚を考えた相手もいたが
30歳のころ、結婚を考えていた人がいたのだが、ある日突然、「結婚できない」と言われてしまった。彼の勤務先が倒産したのだ。当時は「大丈夫、二人で働けば何とかなるよ」と励ましたのだが、彼は気力を失って故郷に帰っていった。
「冷たいようだけど、あのとき無理に結婚しなくてよかったと思います。今ごろは二人で苦しい状況に陥っていたかも。私一人なら、何とか食べてはいけますから。しかも、余裕のない二人が同じ屋根の下に暮らしていたら、どちらもストレスまみれになりますよね。みんな経済的に余裕がなくて、その結果、気持ちにも余裕をもてない状態になっているんじゃないかと思います。月に1、2度は友人に会ったりしますが、なるべくお金のかからない居酒屋にしか行けません」
貧富の差がどんどん激しくなっていることを痛感しているとシズカさんは言う。
婚活はアプリで
シズカさんはマッチングアプリで婚活している。それも、「よほど気が合えば会ってみようかな」という程度。それほど熱を入れているわけではない。
「周りに聞いてもそうですよ。婚活市場のど真ん中からは、もう外れてるなという自覚はある。今から結婚しても子どもだって産めるかどうか分からない。だから、今よりいい生活が保証されて、なおかつストレスをもたずに暮らせる相手かどうかを見極めるしかないんですが、そういう女性と結婚したいと思う男性がいるかどうか……」
ほぼ諦めてはいるけど諦めきれないから続けているようなものとシズカさんは少し笑った。
「大学を出て就職して、30歳手前くらいで結婚して、共働きで子育てしながら生きていくという、“ごく普通の”青写真を描いていたんですが、それすら叶わなかった。就職まではできたけど、社内の人間関係があまりに悪くて、最初の会社を5年で辞めざるを得なくて。そこから人生の坂道を下り続けている気がします」
一気に再浮上は難しい。だから40歳までには資格をとると決めた。それを最優先させるために婚活はゆるゆるとするしかない。他人に頼るより、自らの人生を自分で作った方が裏切られないからだ。
「一人で頑張って生きたいわけじゃないけど、その選択肢が一番気持ちが楽だから」
ストレスを抱えたくないと何度も強調する。最初の会社での人間関係、前の彼との関係にあまりにストレスが強かったことが原因なのかもしれない。
<参考>
・「恋愛・結婚に関するアンケート調査」(明治安田総合研究所)







