人間関係

「おまえにはびた一文やらない」退職金をもらった夫の言葉に愕然。66歳女性を苛む「夫のいる孤独」

あんな人にずっと尽くしてきたなんて……。66歳女性は、40年近く連れ添った夫のことがまったく分からなくなったと言う。退職後の夫の驚くべき言動の数々に、女性の心は蝕まれ続けている。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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退職後、夫がたびたび家を空けるように(画像:PIXTA)

ひとりでいる孤独より、誰かがいるのに分かりあえない孤独の方がずっと人の心を苛むものかもしれない。それが長年連れ添った夫だとしたら……。

夫がどういう人間か分かっていなかった

「40年近く連れ添った夫ですけど、最近になって夫がどういう人なのかまったく分からなくなってしまいました」

そう言うのはミナコさん(66歳)だ。結婚して38年。夫は古希を迎えた。定年退職後も仕事をしていたが、3年前にそれも終了。今は年金暮らしだ。

「夫とは職場結婚です。結婚して私は退職、子どもを二人もうけて、下の子が小学生になったころからパートとして働きました。夫は『家事育児に支障がないなら働いてもいいけど』という態度だった。家事育児は女の仕事。夫はもちろん、私もそう思っていたところがあるので、大変だったけどそれが当たり前だと思っていました」

退職金をもらった夫が放った一言

夫はわがままなところがあった。子どもたちよりおかずが多くないと不機嫌になった。だが、そんなものだろうとミナコさんは思っていた。老後もともに生きていくと信じて疑わなかった。ところが子どもたちも独立し、退職金をもらったときの夫の一言が彼女の心を傷つけた。

「夫は自信満々に『これはオレのお金だから』と。オレが長いこと働いてもらったご褒美だから、おまえにはびた一文やらないって。あなたが働き続けられたことに、私は何の貢献もしていないのかと聞いたら、給料はきちんと渡していただろって。私は別に退職金がほしいわけじゃない、だけどあなたのその言い方はあんまりだと思わず抗議をしたんですが無視されました」

年金で夫婦二人の生活は、なんとかやっていける。だがミナコさんには、夫の言葉が大きなささくれのようにひっかかっていた。退職金は夫が自分の口座に入れたのだろうか。それさえ教えてもらえなかった。

毎日のようにどこかへ出かけていく夫

仕事を辞めた2年前から、夫はたびたびどこかへ出かけていく。ときには「1週間くらい家をあけるから」と言って出ていくこともある。

「どこで何をしているのかまったく分からない。知りたいわけじゃないけど、気にはなります。同時に、夫にとって私は今、どういう存在なのか、それも気になる」

1週間ほどたって帰ってきても、別にお土産があるわけでもないし、どこで何をしていたかを話すわけでもない。

「長年、夫婦として生きてきて、私は完全に蔑(ないがし)ろにされている、いないもののように扱われている。それがつらくて虚しくてたまらない」

いっそ離婚してほしい。1年前にそう迫った。すると夫は「オレと別れたら生活できないだろう」とつぶやいた。

「その言い方が、完全にバカにしきっていて。本気でケンカするつもりもない、そんな価値もないと言われている気がしました。私はあなたにとって何なのと言うと、『妻だろ』って。何か不満があるのか、金がほしいのかとまで言われました」

誰かに心配されたいわけじゃないけれど

それ以来、ほとんど会話はない。夫は冷蔵庫に貼ってあるボードに、夕飯はいるとかいらないとか書いて出かけていく。2週間ほどいなくなることもある。

「子どもたちに心配をさせたくはなかったけど、どうにも気持ちの持って行き場がなくて、30代後半になる娘に話してみたんです。すると『それはあまりにもバカにされてるよ』と。離婚を考えた方がいいって。娘の夫までひどすぎると憤慨してくれた。でも息子に言ったら、『生活できるなら放っておけばいいじゃん、そのうち家にいるようになるよ』って。この息子も妻に対して冷たいんじゃないかと疑ってしまいました」

娘は「私たちがお父さんに話してみる」と言ってくれたが、遠方に住んでいるため、わざわざ来なくてもいいと断った。息子はそのまま知らん顔だ。今さら親が離婚してもたいして影響はないと思っているのだろう。

「誰かに心配されたいわけじゃない。娘は現に味方してくれているし。でも娘には娘の家庭がある。私のことを夫婦で心配してくれてはいるけど、大事なのは自分たちの家庭に決まってる。それでいいとも思うし……。ただ、私のために本気で動いてくれる人はいないんだと実感はしています」

過去ばかり振り返ってしまう

友人はいる。だが、こんなことは話せない。長年、忙しく生きてきて、老後と言われる時期になって、これほどやるせない思いをするとは思わなかったと、ミナコさんは愚痴をこぼす。何か楽しみを見つけようと思っても気力が湧かない。過去ばかり振り返ってしまうと彼女は言った。

「夫が病気になったら、私は看病できるのかしらと考えますね。逆に私が病気になったら、お金がかかると放り出されるのかもしれないと思ったり……。老い先、それほど長くはない。今さら夫との関係が修復できるとも思えないし、あんな人にずっと尽くしてきた自分がバカだったとしか思えないんです」

このままでいいのか、娘に協力してもらって何かを打破した方がいいのか、それさえ決断できないまま、日々、孤独感に耐えていると彼女は力なく言った。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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