人間関係

「どうしてそんなことも覚えられないんだ」。モラハラ夫の口癖をまねする息子の将来が不安……

夫の妻に対する言動を息子がまねすることはよくあるだろう。だが、それが依存気質の夫だったり、モラハラ夫だったりした場合はどうなるのだろうか。「このままでいいはずがない」と悩む妻たちの複雑な心情とは。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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息子がモラハラ夫の言動をまねするように(画像:PIXTA)

息子がモラハラ夫の言動をまねするように(画像:PIXTA)

夫婦関係はどのくらい子どもの心に影響するのだろう。同じ親に育てられたきょうだいであっても、決して性格は同じではない。持って生まれたものや後天的環境が、どの程度の影響力を持つのかは分からない。ただ、夫が妻にモラハラともいえるような言葉をぶつけている場合、小さい子には直接的な影響が出ることもあるようだ。

夫が私を頼りすぎるから

8歳と4歳の男の子を育てながら、パートで働くミキさん(40歳)。「夫は長男」と位置づけるほど、夫からも頼られている。言い換えれば「夫の世話が一番大変」だそうだ。

「夫は不機嫌をまき散らすようなタイプではありません。逆にいつでもご機嫌で私を使うので、ひょっとしたらタチが悪いのかもしれないと思うこともあります。口では『ママがいないとオレは何もできない』と言いますが、人が忙しいときに限って『ねえ、水ちょうだい』などと言う。私がそれをできる状態かどうか分からないの、とつい言うと、下の子に向かって『ママ、怖いねえ』と同意を求める。下の子も私が何か言うと、『ママ、怖いねえ』と言うようになってしまって困っています」

事情が分からない幼い子に同意を求めて、妻をやゆするようなやり方は、常にミキさんの神経をいらだたせる。だが、夫は「冗談だよ。明るく言ってるんだから問題ないでしょ」とどこ吹く風だ。

いいように使われている気がしてならない

「マンション住まいですが、夫は例えば玄関を出てから忘れものに気づいたような場合、戸を開けて『ママ、ママ、忘れものしたー』と大声を出す。自分で上がって持っていってよと言っても『いいじゃん、そこにいるんだから。ちょっと部屋を見てくれればすぐ分かるから』と。実際、急いでいるみたいだしやってあげちゃう私もいけないんでしょうけど……。それを最近、上の子がまねするようになって、忘れものをすると玄関で叫ぶ。近所の人からも『お宅は大変ねえ』と言われる始末です」

夫に子どもがまねするからやめてほしいと言うと、「みんな、ママが大好きなんだよ。な」とまた子どもに同意を求める。男3人にいいように使われている気がしてならない半面、「私がいないとこの家族はダメになる」というモチベーションにもつながるところが、甘えられ頼られてしまう女性の複雑な心境かもしれない。

「早めに男たちを自立させないといけないのは分かっているんですが」

ミキさんの表情も複雑だった。

乱暴な言い方をまねする息子

「うちの場合は、夫がかなりのモラハラ体質なんですよ。ストレスがたまると、嫌みや皮肉の言葉を私にぶつけてくる。気づけば謝ることもありますが、私には何を言ってもいいと思っているみたい。もう慣れましたけど、それでもムカつきますよ」

サトミさん(42歳)は、子どもたちのために今は離婚はできないが、頭の隅にいつでもその2文字は浮かんでいると言う。

「11歳になる娘は、父親を嫌ってなるべく避けるようになりました。『あんなお父さんにしたがっているお母さんもヘン』と指摘されたこともあります。いずれは分かってくれると思いますが、下の8歳になる息子は最近、ものの言い方が夫に似てきて。それが気がかりです」

つい先日も、学校に提出する保護者のプリントをうっかり息子に渡しそこねたとき、息子は「どうしてそのくらい覚えていられないんだ、おまえは」と不機嫌な顔で言った。その言い方が夫に似ていて、一瞬、ひるんだが、「お母さんをおまえと呼んじゃダメ。あんたは私の夫じゃないんだから」とキツく叱った。息子は腑に落ちない表情だったという。

見当違いの話を息子にする夫

「娘が、あんたはお父さんじゃないんだからと弟をたしなめてくれましたが、それ以降もかなり乱暴な言葉を使って私に話すことがあるんです。『何度言ってもダメじゃん』とかね。夫の私への口癖みたいなものですが、すっかり口調まで同じで。そのたびに娘が怒っているけど、なかなか改まらない」

あるときサトミさんは夫にそのことを伝えた。さすがの夫も反省するかと思いきや、息子を呼んで「お父さんがしていいことと、おまえがしていいこととは違う」という説得を始めた。

「この人と長く一緒にいたら、私まで人間性がゆがみそうな気がしてきました。暴力をふるったりするわけじゃないけど、これも立派なDVだと友人に言われて、このままでいいはずがないと考えるようになっています」

それでも日常生活は止まらない。子どもたちの生活をすっかり変えるほどのことなのか、自分さえ時々我慢すればすむ話なのではないか、もっと大きなことが起こったときに決断した方がいいのではないかと、サトミさんは揺れ続けている。
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