人間関係

「オレの予約席だからどけ」フードコートで主張する高齢男性にザワッ。夫の「見事な対応」とは

ショッピングモールのフードコートで、高齢男性に「ここはオレの予約席だ」と言いがかりをつけられた43歳女性。一触即発の事態に陥るが、夫は妻とは異なる対応で場を見事におさめた。夫の対応と、高齢男性への「視点」とは。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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週末のフードコートで起きたトラブルとは(画像:PIXTA)

週末のフードコートで起きたトラブルとは(画像:PIXTA)

ショッピングモールのフードコートには、今の社会が凝縮されたような場面が多々見られる。一人でぼんやり座っている高齢者もいれば、周りを気にすることもなく大声で話し続ける熟年グループ、疲れた顔をした若い母親と子どもたちなどなど、さまざまな事情を抱えた人たちが一堂に会している不思議な場所ともいえる。

家族でショッピングモールのフードコートへ

この冬休み、自宅近くのショッピングモールに一家4人で出向いたミサコさん(43歳)。9歳と5歳の子どもたちから、モール内のキッズ遊び場に行きたいとせがまれたため赴いた。

「うちは共働きで、ふだんは週末でもめったにそういう場所には行かないんです。週末は夫婦ともに家でのんびりしたり、次の週の常備菜作りなどで忙しくて。子どもたちもできるだけ外で遊ばせたいと考えているんですが、まあ、たまにはいいかと連れていきました」

思い切り遊べば、子どもたちは「おなかがすいた」と騒ぎ出す。今日はいつもと違い、子どもたちの意見を優先させようと決めていたので、4人でフードコートへ。ちょうど遅めのランチをとるファミリー層で混んでくる時間帯だった。

「オレの予約席だ」と動かない高齢男性

「子どもたちが空いているテーブルを見つけて席を確保。食べたいものを聞いて『買ってくるわ』と夫が列に並びに行った。私は夫の様子を見ながら、はしゃいでいる子どもたちの話を聞いていました。するとそこへ、高齢男性がやってきて、『荷物どかせよ』って。何のことかと戸惑っていたら、『ここはオレの席なの。毎日予約してあるんだから。あんたたちが座る場所じゃないんだよ』と。はあ? って感じですよね。私たちは空いているから座った。そもそも予約システムなんてないでしょうがと大きな声で言ってやりました」

子どもたちはビビっていたが、そんなことでビビるミサコさんではない。周りもそれとなく見ているのが分かった。

そうなると高齢男性は妙に頑なになった。

「ふざけるんじゃない、オレは毎日来てるんだと怒鳴り始めた。一人用の席があるんだから、そこへ行ったらどうですか、そもそもあなたは後から来たんだしと言うと、ますますいきり立ってしまって。そこへスタッフがやってきたので、事情を説明したんですよ。スタッフが彼を説得しようとしましたが、ここはオレの席だ、後からみんな来るんだと言い張る。スタッフさんを困らせても悪いので、他に空いていれば移りますけどと言うと、テーブルはもう埋まっていると」

夫の意外な対応

そこへ夫が戻ってきた。夫はすぐに事情を察したようで、「お父さん、申し訳ないけどさ、今日は珍しく僕の家庭サービスの日なんですよ」と話しかけた。

「『いつも家庭をないがしろにしてるからさ、たまには子どもにもいい顔したいんだよね。悪いけど今日だけ譲ってくれないかな』と夫は彼の肩に手を置いて後ろからもみほぐすようにしながら頼んだんです。『代わりにお父さん、ビール1杯おごるよ』と。すると高齢男性は『いらねえよ』と立ち去っていきました」

子どもたちはミサコさんの陰に隠れたままだったが、ミサコさんはびっくりして夫を見つめていた。夫がこんなにフレキシブルでフレンドリーな対応をする人だとは思っていなかったからだ。

夫は「騒がせてすみません」と周りとスタッフに声をかけると、何事もなかったかのように「ほら、食べよう」と子どもたちを促した。あっという間に何でもなかった雰囲気が戻ってきた。

ああいう高齢者にはなりたくないけれど

「夫に目で合図されたので、私も何もなかったかのように子どもたちに接しました。子どもたちも『怖かったね』と言いながら、でもそんなにショックを受けた様子でもなかったので安心したんです」

後からスタッフが、「あの方は確かに時々一人で来るんですが、いつもは平日なんです。今日はファミリー層が多かったから、思うところがあったのかもしれませんね」と言ったそう。夫は「たぶん寂しかったんだよ」とつぶやいた。

「ああいう高齢者にはなりたくないけど、自分がああならないとも言い切れない。ひょっとしたら一人暮らししているオレの親父も、田舎であんなふうにふるまっているかもしれない。そう思うとなんだか胸が苦しくなるよと夫は言っていました」

ミサコさんは最初からケンカ腰になった自分を反省した。子どもを守らなくてはという意識がそうさせたのだが、あんな言い方をしなくてもよかったのかもしれないと思っているそうだ。そして一方的な視点で見なかった夫を見直したという。
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