逆に、一見シンプルなのに何か違う……そんな人の方が「本物の余裕」を感じたりしますよね。
「本当のお金持ちは、ロゴがデカデカと入った服を着ない」という話を聞いたことがあります。でも街を歩いていると、高級ブランドのモノグラムバッグを持つ人もたくさん見かけます。実際のところ、どうなのでしょうか?
「本当のお金持ち」はロゴで主張しない?
2010年にJournal of Marketingに掲載されたHanらは、富裕層を以下の2タイプに分類することで、彼らの消費行動を研究しました。パトリシアン(旧富裕層):ロゴが目立たない服を好む。「分かる人だけわかればいい」という控えめな姿勢。
パーヴェニュー(新興富裕層):ロゴが目立つ高級品で富をアピール。地位を示したい意識が強い。
この研究では、465個のグッチとルイ・ヴィトンのバッグを分析。興味深いことに、ロゴが控えめなアイテムほど、高価格帯に位置付けられているケースが多いことも示されています。
日本でも、博報堂の2025年調査によれば、インカムリッチ(世帯年収3,000万円以上の高所得層)では半数以上が「商品そのものだけでなく、その背景にあるストーリーが大切だと思う」と回答しました。
また6割以上が「文化や芸術に触れることで自分自身の教養やセンスを高めていきたい」と答えており、モノに込められた意味や背景を重視する傾向が見られます。
結論として、「お金持ちはロゴものを買わない」というのは単純化し過ぎで、人それぞれだということですね。
「勝負服」は気分だけじゃない
衣服と心理に関する研究はさまざまありますが、Temple大学の2023年研究でも、普段よりよい服を着た日は、自尊心が高まり、結果として仕事への取り組み方やパフォーマンスにもよい影響が見られたと報告されています。普段から勝負服を着る必要はありませんが、ここぞという時のための「勝負服」を持っておくと、いざという時にパフォーマンスを発揮できそうです。
そう考えると、1着くらい「勝負服」を持つことは、心理学的にも正しいのかもしれませんね。
●参考文献
1. Han, Y. J., Nunes, J. C., & Drèze, X. (2010). Signaling Status with Luxury Goods: The Role of Brand Prominence. Journal of Marketing, 74(4), 15-30.
2. 博報堂富裕層マーケティングラボ(2025)「新富裕層調査2025」
3. Kim, J. K., Holtz, B. C., & Vogel, R. M. (2023). Wearing Your Worth at Work: The Consequences of Employees' Daily Clothing Choices. Academy of Management Journal.







