ミャクミャクの500円玉が大化け
2025年10月13日に閉会した2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)。閉幕から2カ月が過ぎましたが、現在も万博の余韻に浸れる企画や展示会が各地で行われています。公式キャラクターのミャクミャクは閉幕後も大人気。有名企業とのコラボレーションなどもあり、その人気に陰りが見えない状況です。そんなミャクミャクですが、「コイン業界」にも旋風を巻き起こしています。
なんと記念硬貨がコインオークションで高額落札されたのです。金貨や銀貨ではありません。まさかの「500円記念硬貨」です。この記念硬貨は、額面と同じ500円で郵便局や銀行などの取扱金融機関で交換できたもので、発行枚数も232万8000枚と多いにもかかわらず、一体なぜ高額で落札されたのでしょうか?
鑑定機関での評価が大きなポイント
8万2000円に化けた「実際の500円記念硬貨」(表面) ※画像:第14回レトロコインオークション Lot:222 記念貨幣 500円バイカラークラッド貨 令和7年 / 2025 保証機関 PCGS 保証ランク MS66(1 / 77)
実際の記念硬貨を見ると、エラーコインに見られるような異変はありません。同じ500円記念硬貨を持っている人は、「自分が持っているものと何ら変わらないじゃないか」と思うかもしれません。
この500円記念硬貨のポイントは、その鑑定結果にあります。貨幣の鑑定機関であるPCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)から、「MS66 First Strike」という評価を受けています。
“66”という数字は、完全未使用レベルの評価であることを示しています。500円記念硬貨の場合、ブリスターパック(硬貨を傷などから保護するためのプラスチック製の包装)などに入っているわけではなく、交換までの間に傷がつきやすく、高い評価がつきにくいのです。
もう1つのポイントは、“First Strike”という評価がついていることにあります。First Strikeとは、発行後30日以内にPCGSに提出された硬貨を意味します。現代のコイン鑑定に付加価値を与える要素であり、日本から鑑定を依頼する場合には、発行直後に依頼して郵送するなどしなければ、First Strike評価には間に合わないことが多いです。
実際のところ、PCGSの鑑定に出されたミャクミャクの500円記念硬貨のうち、First Strike評価がついたものは77枚しかなく、しかも66評価のものは9枚しかありません(66評価9枚、65評価63枚、64評価5枚)。
今後同じ500円記念硬貨を鑑定に出してもFirst Strike評価はつかないため、マニアにとっては欲しくてたまらないものとして高額落札に至ったと考えられます。ミャクミャク人気も価格を押し上げていると思われます。
First Strike評価以外にプレミアムがつく特徴は
同じミャクミャクの500円記念硬貨でも額面を超えるプレミアムがつく可能性があるため、完全未使用で高評価が得られそうなものを探してみましょう。表面を手で触ることなどはご法度です。評価が落ちることになります。入手後すぐに、コイン保管のためのプラスチック製カプセルや紙ホルダーに収めるなどして状態を保ち、鑑定に出すことが価値を高めるポイントです。なお、鑑定に出されたコインは、スラブと呼ばれるケースに入って戻ってきます。スラブに入ることで、手で触れることもなく状態を保つことができます。
気になるものがあれば鑑定に出すクセをつけておくと、ありふれた記念硬貨でも大化けする可能性があります。PCGSなどによる鑑定は、鑑定を受け付けているコイン商を通じて依頼できます。チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
<参考>
・第14回レトロコインオークション Lot:222 記念貨幣 500円バイカラークラッド貨 令和7年 / 2025 保証機関 PCGS 保証ランク MS66(1 / 77)
・財務省 報道資料「2025年日本国際博覧会記念貨幣(第三次発行等)を発行します」
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