兄と同居していた両親が追い出された
「兄夫婦から実家を追い出された認知症の両親がいます。私の家で同居介護を始めようとしたら、妻から『同居するぐらいなら離婚するわよ』と言われてしまいました。妻に自宅での同居介護を納得させる方法はあるのでしょうか?」今回、介護の悩みを打ち明けてくれたのはトシキさん(仮名/50代男性)です。
トシキさんの実家は商売をしており、店と家が1つになっています。5年前に長男の兄が代替わりし、兄夫婦は実家で両親と同居。商売は全面的に兄任せで、義姉も店を手伝い、繁盛しています。
「3年前、両親が相次いで認知症になりました。兄なしでは店が回らないので、必然的に義姉中心の介護を行うことに。母は若い頃から父の言いなりでしたが、性格自体はおっとりとした優しいタイプ。嫁姑の確執もなかったのに、認知症になって以来、トゲトゲしい発言が増え、義姉に対して嫌がらせを繰り返すようになってしまいました」
加えて、元々頑固だった父の性格も悪化。兄や義姉の注意は何一つ聞かず、気に入らないことがあると暴力を振るうことも……。
「テレビのリモコンで義姉を叩く父を13歳の姪(めい)が止めようとし、父は姪を突き飛ばしました。姪は後頭部を1針縫うけがを負い、それが決定打となり、両親は実家を追い出されました」
両親の自宅介護に家族が猛反対
両親共に施設に入ることを断固拒否したため、兄からトシキさんの元に「そっちで面倒を見てほしい。毎月10万円ぐらいなら払う」と連絡が来ました。途中で電話を代わった母から「もうあなただけが頼り」と言われ、トシキさんは「分かった」と答えてしまいました。「ただ、妻と12歳の息子に事情を説明し同居介護へ協力してほしいと言ったら、大激怒されました。妻には『同居するぐらいなら離婚する』とまで言われ、途方に暮れています。家族同士、困った時に助け合うのは当然だと思うのですが、どうすれば妻や息子が協力的になるのでしょうか」
トシキさんの人生で兄に頭を下げられるのは初めてのこと。家業を継ぐことが若い頃から決まっていた兄と比べ、両親からはあまり期待されず、結婚の際にもお祝い金で差をつけられるなど、トシキさんは待遇に差を感じていました。正月や盆に実家に帰った時、母から「お兄ちゃん」と呼ばれ、頼りにされている兄が羨ましかったそうです。
「母から頼られるのも初めてですし、家族から助けを求められている今こそ、自分が頑張らないといけないと思います。それに毎月10万円の介護費用をもらえるのは大きい。両親の年金の管理も任されていますし、今より生活が楽になる。余ったお金については『家計に入れたり、お小遣いにして構わない』と妻に言いましたが、『そんな話じゃない』と一蹴されてしまって」
認知症の診断や治療、介護保険の手続きなどはまだ何もできていない状態ですが、「住む環境が変わることで両親も素直になってくれるはず」とトシキさんは信じています。
「手続きなどは自分が頑張るので、妻が中心となって日常的な介護をやってほしいです。妻は自分より一回り下で、妻の両親もまだ若い。うちの両親の介護をすることで、将来的に自分の親の介護をする時の練習にもなると思います」
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