今すぐ離婚されても当然
筆者はこの相談に「とんでもない。何を言ってるんだ」と感じました。自分で親の面倒を見ようとするのはよいことですが、兄へのコンプレックスを解消するために、妻や子どもを使おうという姿勢はもってのほかです。妻に言った「自分の親を介護する時の練習になる」は最悪の言葉。妻への思いやりが欠如し過ぎています。もしもトシキさんが逆の立場で同じことを言われたらどう思いますか。これでは今すぐ離婚されても当然です。本当に大事なものが何かを考えて、昔の呪いから抜け出してほしいです。
まず介護の義務は実子にあります。つまり、兄とトシキさんだけが介護の義務を負っている状態。商売上の事情があったにせよ、義姉の頑張りで成り立っていたこれまでの介護がそもそもイレギュラーです。本来あるべき状態で介護が行われなかったことが、事の発端です。
また、確実にトラブルの元となる両親との同居を、妻や子どもへの相談なしに安易に考えること自体も、正気とは思えません。父の暴力や母の暴言など、不幸が見えているのになぜその方向に進もうとするのか。実際に姪は被害に遭っています。妻や子どもからすれば、「次の犠牲者は自分たちかもしれない」と不安になるでしょう。
配偶者不幸であり、子ども不幸でもある
ほかにも、両親の金銭感覚も気になるところ。個人事業主だった両親の年金はおそらく国民年金のみ。介護施設を利用した場合、高確率で赤字になります。また、兄から毎月10万円もらったとしても、食費や水道光熱費、医療費などで手元にはほぼ残らないでしょう。正直、精神的苦痛を考えたら費用は50万円でも安いぐらいです。
同居する時点で少なからず妻や子どもには迷惑がかかります。配偶者や子どもをいいように使って親孝行しようとするのは、配偶者不幸であり、子ども不幸でもあります。
どうしても親の面倒を見たいというなら、実家に住み込むなり、親と暮らす専用の部屋を借りるなりして、すべて自分でやる。これに尽きます。
結婚して別世帯であれば、民法上は「家族」ではありません。姻族や親族という扱いです。トシキさんにとっての家族は、妻と息子の2人だけ。「家族になったのだから介護してくれ」「嫁に来たのだから親の面倒は見るもの」などという考えは、何十年も前の話です。
変なスイッチが入っている状態
兄に対して引け目を感じ、両親から頼りにされていないというコンプレックスを持っていたところに、それぞれから頼られたため、今のトシキさんは妙に張り切っている状態だと思われます。「今こそ自分の見せ場だ」と、変なスイッチが入ってしまっていそうです。そして、「自分ならうまくやれる」と思っているようですが、その根拠はどこにあるのでしょう。長年信頼され、実家の大黒柱であった兄の言うことを聞かない両親を説得できる可能性は極めて低いのではないでしょうか。厳しいことを言いますが、コンプレックスを抱くほど両親から大事に扱われてこなかったのですから、「トシキの意見は役に立たない」と判断されている可能性も否定できません。
もしも両親から感謝されたとしても、それは一時的なもので、近い将来、関係性が悪化するのはほぼ確実でしょう。親の愛情という呪いに縛られず、全力で妻と子を守るべきです。
両親は在宅で面倒を見ることができるレベルではありませんから、介護の手段は「施設一択」であり、そのためにどうするべきか兄としっかり話し合ってください。







