夫婦関係

悪いのは拒む側!?「セックスレス」が原因でパートナーが浮気・不倫したらどうする?

本来セックスレスとパートナーの浮気・不倫は別問題。ですが、この2つはリンクしやすいテーマであることも事実です。「レスを解消したいとは思っていないけれど、もしパートナーに浮気をされたら……」あなたはどうしますか?※サムネイル画像:PIXTA

三松 真由美

三松 真由美

夫婦関係 ガイド

会員1万3000人を超えるコミュニティ「恋人・夫婦仲相談所」を運営し、夫婦仲の改善、セックスレス対処法ED予防法を真剣に考える夫婦仲コメンテーター。的確なアドバイスにファンが多く、マスコミ取材や著書執筆、講演多数。『オトナのお悩み保健室』サービス開始。

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レスが原因でパートナーが浮気・不倫したらどうする?(画像:PIXTA)

レスが原因でパートナーが浮気・不倫したらどうする?(画像:PIXTA)

「セックスレスが原因の浮気・不倫」について、こんな調査があります。

夫婦間レス当事者男女400人を対象にした「夫婦のセックスレスに関する実態調査」(レゾンデートル株式会社)によると、「もし配偶者が浮気・不倫をしたら許しますか」という問いに、全体の45.8%が「許さない」と回答。男女別では男性38.5%、女性53%と差があるものの、レスであっても約2人に1人は「パートナーの浮気・不倫は許さない」姿勢を示しています。

「自分からレスを解消したいとは思わないけど、相手の浮気は許さない」という、自己棚上げ的な矛盾した本音が、今の日本の夫婦には存在しているのです。

では、実際に「レスが原因」と言われる浮気・不倫が起きてしまったとき、どう向き合えばいいのでしょうか。
<目次>

「レスだから浮気しても仕方ない」は成立しない

私が主宰する夫婦仲相談所でも、こんなセリフは珍しくありません。

「ずっとレスだったから、浮気でそれを埋めたい」

「触れようとすると嫌がられるから、外で発散するしかなくて」

確かに、セックスレスが長期間続くと、性の欲求(私はセクデザと呼んでいます)のやり場に困る人もいます。

ここで整理しておきたいのは、「二人のセックスレス」と「浮気・不倫という行動」は、まったく別の次元の問題であるということです。

レスは「二人の関係で起きている未解決の課題」、浮気・不倫は「パートナーに隠れて、第三者を巻き込んだ行動」です。いくらレスがつらくても、「だから浮気してもいい」という免罪符にはなりません。浮気を「レス解消の手段」「バーター行動」にしてしまうと、夫婦の信頼は一気に壊れ、その後の再構築が難しくなります。

相談事例1:離婚を選んだケース

信頼関係を取り戻せず……(画像:PIXTA)

信頼関係を取り戻せず……(画像:PIXTA)

由美さん(39歳・仮名)は、第二子出産後から夫婦生活が止まり、そのまま5年近くレス状態に。産後の体調不良や育児疲れが続き、「今日は勘弁して」が口ぐせになっていました。

ある日、夫のスマホで同僚女性との親密なメッセージのやりとりとホテルの予約履歴を発見。問い詰めると、夫は「何年も拒否され続けたんだから、仕方ないだろ」と逆ギレ気味に言い放ちました。ショックを受けた由美さんは、夫婦仲相談所に来られました。

「レスの原因は私という自覚はあります。でも、『レスだから浮気して当然』と言われると、それは違う。一気に心が冷めてしまって」

数カ月の話し合いを重ねたものの、夫は最後まで「レスが原因」を強調し、自分の不倫行動を反省する様子はありませんでした。由美さんは最終的に、子どもの養育環境と自分のメンタルをてんびんにかけ、「この人とは信頼を取り戻せない」と離婚を選びました。

このケースから分かるのは、拒み続けた側にも責任はあるが、「レス=浮気の免罪符」と主張されると、信頼関係は修復困難になるという現実です。

相談事例2:再構築を選んだケース

互いの努力で再構築に成功した人も(画像:PIXTA)

互いの努力で再構築に成功した人も(画像:PIXTA)

一方で、再構築に成功した夫婦もいます。

翔子さん(44歳・仮名)は、更年期の入り口で体調が不安定になり、夫婦生活が自然消滅。その後、夫が飲み屋の女性と不倫していることが分かります。発覚したのは、夫の衣服から微妙に香る香水でした。スマホの証拠ではなく、香水なんてまるで昭和の浮気発覚シーンだと、自分でも笑ってしまったそうです。

夫は「一緒に飲みに行っただけ」と言い訳しましたが、そんなわけはない。翔子さんは「裏切られた」と感じ、大きなショックを受けました。このとき、スマホ履歴を全部開示してもらい、風俗にも数回通っていたことが分かりました。

夫は平謝りで、飲み屋通いも風俗もきっぱりやめる。妻の体調を優先して家のことを手伝うと約束し、信頼を取り戻そうとしました。

翔子さん自身は、「更年期だから夜の営みなんてできっこない」と思考停止していた自分に気付き、婦人科に行ってホルモン治療を開始。日々のエクササイズ(動画で毎日30分)など、自分の身体と性のコンディションを整える努力も始めました。

半年ほど経ったころ、二人は「月に1回、大人のデートをする」「その日は互いにスキンシップを意識する」という新しいルールを作り、少しずつレスから脱出していきました。

ここでポイントになるのは、次の2点です。
  • 浮気した側が、どこまで本気で変わるか
  • 浮気された側が、自分の悪かった点はないか振り返り、夫婦の再設計に向き合う覚悟を持てるか
これを相談者さんに話すといつも「被害者なのに、なんで私が反省しなくちゃいけないの」と腑に落ちない発言をされます。ですが、被害者意識を持ち続けると、ふとした態度でそれが夫に伝わり、「やっぱりずっと許してないじゃん」と更生マインドを削ぎ落とします。

「1%は、私も悪かったよね」と思うだけで、「した側」は関係再構築にコミットすることでしょう。

レスからの浮気の後で「これからどうするか」を決めるために

実際に「レスが原因」と言われる浮気・不倫が起きてしまったら、どう動けばいいのか。私は、次の順番で考えることをおすすめしています。

1. 「レスの問題」と「浮気の問題」をバッサリ切り分けて話す
まずは、「浮気という裏切り」の責任をあいまいにしないこと。レスがつらかったことは理解するとしても、「浮気」と「レス」は別問題であることを理解し、線を引くようにします。

2. 自分が本当に望むのは「離婚」か「再構築」かを整理する
子どもの年齢、経済状況、これまでの結婚生活の積み重ねを踏まえつつ、「自分はこの人と、あと10年、20年一緒にいたいか?」と、自分軸で考えてみてください。

3. パートナーに「変わる意思」があるかを見る
口先だけで謝るのではなく、生活の態度・時間の使い方・お金の使い方が変わっていくか。ここが変わらない場合、「セックスレス」以前に、信頼関係の土台が崩れています。セックスレスはまったく関係ありません。

4. レス問題を、二人の共同プロジェクトにする
セックスレスは健康状態、その時のメンタル、ホルモンバランスの問題が絡むことも多いので、婦人科・泌尿器科の受診や、カウンセリングの利用も視野に入れること。「どちらが悪いか」ではなく、「どうすれば二人が心地よく触れ合えるか」を一緒に考える姿勢が大切です。

性に踏み込んだアドバイスは次回お伝えします。

セックスレスと浮気・不倫は、確かにリンクしやすいテーマです。ですが、「レスだから仕方ない」「欲求不満だから外で発散」は、パートナーシップを雑に扱う言い訳に過ぎません。

「レス×浮気」のピンチは、「愛の表現方法」「夜の営み方」「“ロマンチック”の残し方」を、一から組み立て直すチャンスでもあります。

約100歳まで続く今後の結婚生活にロマンチックな時間を残すか、一度リセットして、自分の人生を組み替えるか。決断するのは自分です。ただし、「1%は自分も悪いよね」の謙虚なマインドを忘れずに。

<参考>
・「夫婦のセックスレスに関する実態調査」(レゾンデートル株式会社)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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