年齢を重ねると、投資に対するリスク許容度はどうしても下がっていきます。資産を増やしたいという気持ちは大切ですが、無理をしないことが何より重要です。リスク許容度はあくまでも目安として考え、必要な資金を除いたうえで、どれくらいなら元本割れしても大丈夫なのかを判断しながら金融商品を選ぶことが大切です(画像:amanaimages)
今回は、以下の質問が届きましたので回答します。
「現在62歳で、退職後も継続臨時社員として週4日勤務をしています。現在の財産は、最近始めた個人向け国債に2000万円、残りの5000万円は普通預金に預けたままです。資産運用の知識は全くないままですが、完全退職を1年以内に考えており、まずは普通預金に預けっぱなしの分をどのように分散すればよいかアドバイスいただきたいです」(ソンギュンさん)
ライフプランや自分の要望を踏まえて金融商品を分散しましょう
普通預金の5000万円をどのように分散していくのかを考える際には、まず、ご自身のライフプランの中で「いつ、どれくらい必要になる資金があるのか」を確認することが大切です。自宅のリフォームを予定していたり、旅行に行きたい気持ちがあったり、趣味に使いたい資金、あるいは家族に援助する予定など、今後の暮らしの中で必要になるお金があるかと思います。使い道がはっきりしている資金については、確実に用意しておく必要があるため、定期預金や個人向け国債など元本保証の金融商品で運用するのが無難です。
また、63歳で完全退職される予定の場合、収入のない63歳から年金受給が始まる65歳までの2年間は、生活費を預貯金から取り崩すことになります。仮に1カ月の生活費が25万円であれば、2年間で600万円の確保が必要です。
このように、ライフプラン上で使うことが決まっているお金と、2年間の生活費を差し引いたうえで、残った資金でどのように運用していくのかを検討するのがよいでしょう。
元本保証のない金融商品にチャレンジしてもよいかも?!
絶対に減らしたくない資金を除いたうえで、残ったお金の一部については、元本保証のない金融商品に挑戦してみるのも1つの考え方です。例えば投資信託や株式投資などが挙げられます。特に株式投資では、株主優待を実施している企業であれば、買物券や食事券、鉄道の切符など、日々の生活に役立つ優待が受けられることもあります。応援したい企業があれば、その会社の株を購入してみるのもアリでしょう。
また、旅行が好きな人であれば旅行会社や航空会社の積立サービスを利用することで、積立額以上の旅行券が受け取れる場合があります。よく利用するデパートや百貨店がある人は、そこの積立サービスを利用することで、通常よりお得に商品券が受け取れることもあります。
とはいえ、資産運用に不慣れということであれば、不安を感じるのは当然です。一般的には、元本保証でない金融商品に回してもよい金額の目安として、「100%から年齢(62歳)を引いた数字」、つまり38%がリスク許容度とされています。
仮に5000万円を全額分散投資に回せるとした場合、1900万円までは元本保証のない商品で運用してもよい目安になります。しかし、いきなりその金額全てをリスク商品に投じるのは、不安の方が大きいと思います。
年齢を重ねると得られる収入は限られてきます。いくらまで元本が減ってもよいのか、減らしたくないのかを考えて、金融商品を選び、分散投資していくことが大切なのです。







