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理不尽すぎる「えこひいき上司」が「太鼓持ち部下」をかわいがる理由とは? 50代女性上司の事例

お気に入りの部下ばかりを優遇する「えこひいきをする上司」はあなたの周りにいませんか。正当に評価されず、不公平感に悩む人も多いはず。今回は、そんな職場で起きたリアルな事例と、当事者が感じたやるせなさについて紹介します。※画像:Shutterstock.com

All About 編集部

上司ガチャ……理不尽なえこひいきに遭った時、どうすれば? ※画像:Shutterstock.com

上司ガチャ……理不尽なえこひいきに遭った時、どうすれば? ※画像:Shutterstock.com

上司がお気に入りの部下ばかりを優遇し、正当に評価してくれない……。そんな「えこひいき」は、部下のモチベーションを大きく削ぎます。

あなたの職場を憂鬱にする人たち』(舟木彩乃著)では、“問題がある職場の人たち”についての具体事例と解決策を紹介しています。

本書から一部抜粋し、今回はあからさまに部下を「えこひいき」する上司の問題点について解説します(全2回の前編)。
<目次>

事例|自分が一番かわいい〝えこひいき上司〞

人間なので相性が合う合わないはあると思いますが、あからさまに特定の部下を「えこひいき」する上司が残念ながら一定数は存在し、やはり職場を憂鬱にしています。

部署の業績に貢献してくれる部下をえこひいきするのであればまだわかりますが、単に上司である自分を気持ちよくさせてくれるだけの〝太鼓持ち部下〞を可愛がるケースもあります。皆さんがそういう上司の部下の立場であったとすれば、どうしたら良いでしょうか?

えこひいきする上司に困っている部下の事例を通して、考えてみたいと思います。

トラブル発生|プライドが高い50代女性上司のえこひいき

小沢さん(仮名、男性30代)は、中規模の会社で企画を担当するチームに所属し、これまでいくつものプロジェクトを成功に導いてきました。真面目な性格の彼は、新企画を打ち出す際のマーケティングも緻密に行っていて、上司やメンバーからの信頼が厚く、頼りがいのある存在です。

小沢さんのチームは異動が少なく、これまでほぼ同じメンバーで仕事をしてきましたが、チームの責任者である上司が別部署に異動になったことで、新しい上司が来ることになりました。

チームに新たに配属になった上司は、1年前に別業界からヘッドハンティングされたというDさん(女性50代)です。彼女は、いかにも仕事への自信に満ちあふれているように見えるタイプで、自分への反論は許さないという姿勢が垣間見えることもよくありました。

チーム内で割合ざっくばらんに意見を言い合うような打ち合わせの場で、小沢さんが自分の考えを言おうとしたとき、「私が発言の許可を出すまでは話さないでください」と、Dさんに出鼻をくじかれたこともあります。

かと思うと、Dさんのお気に入りの部下Eさん(男性30代)が、定例のオフィシャルな会議で彼女の許可なく発言しても、「なるほど、なかなか面白いわね」などと、笑顔で機嫌よく反応しているのです。

小沢さんは次第に、プライドが高そうで、あからさまに「えこひいき」するDさんに、苦手意識を持つようになり、必要最低限の言葉しか交わさないようになっていきました。

実績ある社員への不公平な扱い

Dさんがチームの責任者になってから、仕事のやり方は大きく変わっていきました。たとえば、彼女の着任前は、仕事の割り振りや担当する顧客はチームのミーティングで決めていましたが、今ではDさんの判断ですべてが決められています。

Dさんによる一連の業務大改革で、一番影響を受けたのは他ならぬ小沢さんでした。時間をかけて苦労して信頼を勝ち取った大口取引先の担当が、Dさんの一存によって、小沢さんより実績が低いEさんに変更されました。

その代わり、小沢さんにはコスパの悪い仕事ばかりが回されるようになってしまいました。その件についてDさんに何度か相談しましたが、聞き入れてもらえるどころか、逆に関係が悪くなる一方だったそうです。

Eさんは、「Dさんのように、仕事ができて人間力も高い人に憧れます! どうしたらそんなふうになれるのか、よろしくご指導をお願いしたいです」などと、歯の浮くようなお世辞を言っては、Dさんに気に入られています。

彼は、売り上げが大きそうな仕事や割の良い仕事ばかりを割り振られ、それなりに実績も上がり生き生きとしている様子です。

仕事ができる小沢さんだからこそ、難しい仕事を任せられているという解釈もできますが、結果としての実績だけで評価される部署でもあるため、公平性に欠けていると言わざるを得ませんでした。

リーダー選出、まさかの人選

ある日、担当の役員も参加して、大型の新規プロジェクトのリーダーを決める会議が開かれました。役員も含めてチームメンバーの多くは、これまでの業績や経験から小沢さんが適任だと思っていました。しかし、Dさんの口から出た名前は「リーダーはEさんでいきましょう!」でした。

驚いたメンバーの何人かは、「小沢さんのほうがこの手のプロジェクトの経験が多いと思うのですが……」などと、Dさんの方針に異論をさしはさんでくれました。

しかし、Dさんは「最近のEさんの業績には目を見張るものがある。今回のプロジェクトのリーダーとしても、どんな活躍をするか期待しています」と反対意見を一蹴し、役員に同意を求めました。

「Dさんがそこまで言うならE君に任せてみようか」と役員も同意したので、結局リーダーはEさんに決まり、会議後、納得のいかない表情を浮かべる小沢さんに同僚たちは同情を寄せていたということです。

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Dさんは、なぜ「えこひいき」をするのでしょうか。【後編】では、彼女の心理的背景とともに、他の部下の対応例を紹介します。
  舟木 彩乃(ふなき・あやの)プロフィール
心理学者〈ヒューマン・ケア科学博士/筑波大学大学院博士課程修了)。博士論文の研究テーマは「国会議員秘書のストレスに関する研究」/筑波大学大学院ヒューマン・ケア科学専攻長賞受賞。メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。官公庁カウンセラーでもあり、中央官庁や自治体での研修・講演実績多数。文理シナジー学会監事。AIカウンセリング「ストレスマネジメント支援システム」発明(特許取得済み)。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタント技能士2級などを保有。Yahoo!ニュース エキスパート オーサーとして「職場の心理学」をテーマにした記事、コメントを発信中。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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