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「プロだから、これくらいやって当然」介護職の私をこき使う毒親と兄に辟易…一体どうすればいい?(2ページ目)

介護福祉士の私を何かにつけて“プロだから”とこき使う両親と兄。これからやってくる両親の介護も押し付けようとしてくる。一体どうしたらいいのか……。50代女性の悩みに、介護アドバイザーの横井孝治が寄り添います。※画像:PIXTA

横井 孝治

横井 孝治

介護・販促プロモーション ガイド

2001年の夏から急に始まった両親の介護を通して、多くのことを考え、悩み、そして学んできました。現在は、正しい介護情報を多くの方々と共有するため、介護情報サイトの運営や、執筆、講演活動を行っています。2011年からは、20年以上のキャリアをもとに「販促プロモーション」ガイドにも就任しました。

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呪いを断って距離を取ろう

まず、筆者からカズエさんに伝えたいのは、今後頑張って介護しても、両親や兄に報いられる可能性はゼロに近い。呪いを断って距離を取ろうということです。

介護についての義務は、実子である兄とカズエさんに等しく存在しています。資格の有無は関係ありません。

さらに、両親と同居している兄は責任範囲が広くなるのです。介護をしないままだと「保護責任者遺棄罪」に問われる可能性もあります。

子どもの頃から兄びいきだった、そして介護のプロとして働くカズエさんを便利使いする親にしがみつく理由は何かあるのでしょうか。そこまで親にしがみついて守らなければいけない理由があるのでしょうか。

もちろん親として育ってもらった恩があるわけですから、それに対して一定程度返すのはいいと思われますが、カズエさんの状況を踏まえると、すでに返し終わっているのではないでしょうか。

そして、自分をばかにした態度を取る兄とこれから仲良くしていけますか? 筆者なら絶対に無理です。普通は自分をばかにする人を好きにはなりにくいものです。

たとえ家族でもプロをタダで使っていい道理はない

今後どれだけ実家から要請を受けても、それに応える必要はないと筆者は考えます。必要に応じて地域包括支援センターに連絡して、「キーパーソンは同居している兄。家族関係上、私に介護はできない」旨を伝えて、あとは任せてしまってはいかがでしょうか。実家からの電話は着信拒否。用事がある時はこちらからLINEを送るだけで十分なはずです。

なお、地域包括支援センターで「私、介護の仕事をしています」とは絶対に言わないほうがいいでしょう。「そうなのであれば、あなたが頑張ってください」と言われてしまう可能性がとても高いため、自分の職業に関しては詳しく言う必要はありません。

今置かれている状況をしっかり説明し、“困っている”ことを伝えて、地域包括支援センターで何をしてもらえるか相談する。それが賢い解決方法の1つではないでしょうか。

親子やきょうだいでも、その道で稼ぐ人をタダで使っていい道理はありません。もちろん、どうしても身内だから情があったり、自分が動かなければどうにもならなかったりするなどで、仕方なく頑張ってやっている人がいるのも事実です。その全てを否定する気はありません。何を守り、どう動くかを選択するのは、それぞれの自由です。

ただし、本当は嫌で、とてもつらいけれど……などと、いろいろなことを背負い込み過ぎてしまい、結果として自分の心身を壊してしまうことだけは避けてほしいのです。それは悲劇に他なりません。
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