昭和61年の10円玉には、前期と後期の2種類がある
 
27万円で落札された実際の10円玉 ※画像:第42回AWオークション Lot.163 PCGS-MS65RD 日本 十円青銅貨(ギザなし) 10Yen Plain edge 昭和61年(1986) UNC~FDC
前後期の見分けるポイントは3つあります。10円玉に描かれている平等院鳳凰堂のデザインが、実は少し異なっているのです。
 
高額落札となったポイントは平等院鳳凰堂のデザインにある ※画像:第42回AWオークション Lot.163 PCGS-MS65RD 日本 十円青銅貨(ギザなし) 10Yen Plain edge 昭和61年(1986) UNC~FDC
2つ目のポイントが、一番左側の屋根の上部にあります。前期のものは屋根の先端がきれいに斜めに描かれていますが、後期のものは屋根の部分が突き出していて、とがっているように描かれています。
3つ目のポイントは、一番左の屋根の下部です。前期のものは二重の屋根に切れ目が入っていますが、後期のものは切れ目がなく先がするどくとがっているのです。
これら3つのポイントで、前期タイプと後期タイプを見分けることができます。
後期タイプは製造トラブルにより生じたもの
通常、10円玉のデザインは1年間を通じて同じものが使われますが、昭和61年のみ2種類のデザインが使用されることになりました。これは製造時のトラブルにより、誤って昭和62年のプルーフ貨幣(収集用として、貨幣の表面を鏡のように磨いたもの)用セットの10円玉のデザインが使用されたためです。もともとコイン収集家の間では、昭和61年の後期タイプの10円玉は非常に希少であることが知られており、その貴重さから今回のような高値が付いたと考えられます。
なお、今回落札された10円玉は貨幣の鑑定機関であるPCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)により、「MS65RD」評価となっていることも高値の理由となります。“65”評価は完全未使用レベル、“RD”評価は原色割合が95%以上と、ほぼ原色であることを意味しています。おそらく、この10円玉は未使用のロールの中から発見されたものではないかと思われます。
さすがにちまたで完全未使用や未使用のものを見つけるのは難しいですが、昭和61年の後期タイプと知られずに流通している可能性は十分あるでしょう。傾いていたりなどのエラーと異なり見分けやすいわけでもないため、たまたま見たらあったということはありえるのです。
使用されているものでも数万円の評価が付く場合もあるので、昭和61年の10円玉を見つけたら確認してみてはいかがでしょうか。
<参考>
第42回AWオークション Lot.163 PCGS-MS65RD 日本 十円青銅貨(ギザなし) 10Yen Plain edge 昭和61年(1986) UNC~FDC
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