住宅購入のお金

新築にこだわる人は損をする?3分の1価格で買える「中古マンション」を選ぶべき理由

住宅価格の高騰が止まりません。住宅ジャーナリストの山下和之氏に、マンション選びの考え方と、中古マンションの見極め方を教えてもらいました。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

住宅価格の高騰が止まりません。特に都心では新築マンションが1億円を超えるケースも珍しくなく、「家なんてもう買えない……」と感じている人も多いのではないでしょうか。

しかし、発想を転換すれば、理想の住まいを手に入れる道は残されているはず。住宅ジャーナリストの山下和之氏に、インフレ時代のマンション選びと、中古マンションの見極め方を教えてもらいました。

築30年中古マンションなら、新築価格の3分の1

今の住宅市場において、新築にこだわり続けるのはリスクでしかありません。私は、中古マンションの購入と、リノベーションへのシフトが最も賢明な選択だと断言します。

築30年以上の中古マンションだと、新築の3分の1程度で手に入るケースもあります。例えば、都内で新築が8000万~9000万円するエリアでも、築30年以上の中古なら3000万円台で購入できるケースもあります。

ここで注意していただきたいのが、築浅の中古物件(築5~10年など)は避けるべきということです。近年は新築の供給数が減っており、人気エリアでは築浅中古のほうが新築より高く取引される例もあります。

中古マンションというと、「古いから不安」と思う方が多いでしょう。ですが、1981年6月以降に建築確認を受けた物件は、新耐震基準に対応しています。この基準を満たしていれば、築40年近くたっていても構造的には安心できます。

将来も安心!資産価値が下がりにくい中古物件を見極める「3つの条件」

安く買えた中古物件でも、将来売却する際に価値がゼロになってしまうのは避けたいです。だからこそ、中古物件を選ぶ際には「資産価値が落ちにくい物件」を見極める視点が必要です。

私が推奨する、中古物件選びの条件は次の通りです。

1. 複数路線が乗り入れるターミナル駅周辺にあること
2. 商業施設など生活利便性が高いエリアであること
3. 大手デベロッパーが分譲したブランド物件であること(例:三井不動産、野村不動産など)

郊外であっても、この3つの条件がそろっている物件を選べば、資産価値が極端に下がることはないと考えます。

築古の不安は「断熱リノベ」で解消!

中古物件の最大の懸念点は、古い物件特有の「断熱性の低さ」です。冬寒く、夏暑いという課題があり、そのまま住むと光熱費もかさみます。しかし、これはリノベーションで解決できることがほとんどです。

リノベーションは、単に内装をきれいにするだけでなく、壁や床に断熱材を入れ直す、窓を二重窓にするなど、住宅の「性能」を新築以上に高めることができます。リノベーション、特に断熱改修となると高額な費用がかかると心配される方も多いですが、これも国や自治体の補助金制度を活用することで、費用負担を大幅に軽減できます。

補助金は制度によって異なりますが、工事費の3~5割が支援されるケースもあります(適用には細かな条件確認が必要です)。特に古い住まいに住んでいる方は、まずは断熱性を高めることを考えるべきです。

この補助金を活用すれば、物件費用+リノベーション費用を合わせても、無理のない予算内で、安全かつ快適なマイホームを手に入れることが可能になります。

住宅選びは「価値が落ちないこと」「快適に住めること」が重要

新築マンションにこだわり続けることは、今の住宅市場では「損をする選択」になりかねません。新築の3分の1価格で資産価値の高い中古物件を選び、リノベーションで性能を高める――これこそ、無理なく“理想の住まい”を手に入れる現実的な選択肢です。

中古の見方が変われば、家選びの可能性は一気に広がります。

教えてくれたのは……山下 和之氏(住宅ジャーナリスト)
住宅・不動産ジャーナリスト。新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトなどでの執筆・取材、セミナー講演、メディア出演など幅広く活動。著書に『よくわかる不動産業界』『「家を買う。」その前に知っておきたいこと』(いずれも日本実業出版社)、『マイホーム購入 トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)、『2017-2018年度版 住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)など。
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