STEAM教育の街・相模原
行楽シーズン。学びの秋。子連れでお出かけするなら、“楽しい”プラス、子どもにとって何か学びがあるとさらに充実した休日になりますよね。 リニア中央新幹線の駅が設置されるとあって注目が高まる神奈川県相模原市は、新宿から電車に乗れば40分程でアクセスできてしまう、東京からも行きやすいエリア。この相模原市が今、“次世代の教育”として注目を集める「STEAM教育の街」として名乗りを上げているのをご存じでしょうか。<目次>
STEAM教育って何?
STEAM教育とは文部科学省が推進している、科学(Science)、科学技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字をとった新しい教育概念のこと。AIの技術が飛躍的に伸びるなど、これまで考えられなかったような複雑な問題に直面するであろうこれからの子どもたちに、「国語」「算数」といった科目ごとではなく、科学、科学技術、工学、芸術、数学の5つの領域を中心に教科を横断して学び・考え、「自分で課題を見つけ、自分で解決していく力」を身につけてもらおうという試みです。
一見難しく感じますが、まずは身の回りのことに関心をもって「これなんだろう?」と疑問を持つことが第一歩。それを科学から芸術、数学から科学といったように、違う領域へ好奇心をのばしていくことが理想のようです。
相模原市にはそんな楽しみながら好奇心をのばす施設が集まっている、と聞きつけて、小学4年生の息子と4つのスポットを巡ってきました。
宇宙研究の最先端情報を無料で! 「JAXA 宇宙科学研究所 相模原キャンパス 宇宙科学探査交流棟」
相模原市で楽しく学べるといえば、この施設を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。緑豊かな森の中に現れる研究所では太陽・惑星・銀河など宇宙の謎を解明する最先端の研究が現在進行形で行われていて、敷地内の一角には宇宙科学や宇宙工学についての展示施設「宇宙科学探査交流棟」があります。 小さい頃から宇宙が大好きな息子は、どーんと横たわる屋外のM-Vロケットの実機を前に大興奮。屋内には人工衛星や探査機、ロケットの模型が所狭しと展示されていて、相模原キャンパスで開発された小惑星探査機「はやぶさ2」の実寸大模型や小型月着陸実証機SLIMの実寸大モデルなど、本やニュースで聞いたことがあるものの実際の大きさを体感していろいろと思うことがあったようです。 スタッフの方々は息子の宇宙うんちくにも優しく耳を傾けてくださり、「それならあの展示物見てみて」「こういうポイントでこの展示はすごいんだよ」などなど好奇心をさらに深めるようなアドバイスもしてくださって親も感動しきりでした。驚くなかれ、観覧料は無料です。
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JAXA 相模原キャンパス 宇宙科学探査交流棟
世界でここだけの星空が! 「相模原市立博物館」
宇宙科学研究所の次にぜひ目指したいのが、徒歩2~3分のご近所にある「相模原市立博物館」。1995年に開館した市立博物館で、相模原エリアの台地の成り立ちや歴史、3万年前からこの地に暮らしてきた人々の生活が分かる展示いっぱいのミュージアムです。 中でも今一番熱い注目が集まっているのはプラネタリウム。2025年の7月にリニューアルし、なんと世界でここでしか見ることのできない、「10億個の星空」と「8K全周映像」を同時に楽しめる世界最高峰の施設に生まれ変わりました。宇宙科学研究所とセットで訪れる人が多く、宇宙ファン必見のスポットとなっています。 小学生的には「世界でここだけ」という言葉だけですでに大興奮。映し出された天の川の見たこともない精密な姿に圧倒され、また世界初のシステムにも興味津々の様子でした。<DATA>
相模原市立博物館
アートの街でものづくりに没頭! 「藤野芸術の家」
新宿からJR中央線で70分の藤野駅周辺は、アートをテーマにまちづくりを進めてきたエリア。約30の野外アート作品をたどりながら散策できる「芸術の道」や、藤野を拠点とするアーティストたちが作品を展示しているコンテナギャラリー「ふじのアートヴィレッジ」など、豊かな自然の中で芸術と向き合えます。 中でも「藤野芸術の家」は「ふれあい・体験・創造」をテーマにした、芸術体験施設。音楽・演劇・ダンスに対応したスタジオやホール、キャンプ場、宿泊施設などが広大な敷地にあり、広々とした工房では大人も子どもも陶芸や木工、ガラス工芸など、思い思いにものづくりに没頭できます。 息子は、砂を吹き付けてガラスの表面に模様をつけるサンドブラストに挑戦。シールを根気強くガラス面に貼り付けていき、自分だけのデザインのコップを制作しました。砂を吹き付ける作業のときは最初恐る恐る機械を触っていましたが、砂の感触が思いの外気持ちよかったようで、削ることに没頭。出来上がりを見て「砂の威力ってすごいなぁ」と感慨深げでした。
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藤野芸術の家
身近な動物の骨をじっくり見る・触る「麻布大学いのちの博物館」
獣医学の学校として知られる麻布大学が、創立125周年を記念して2015年に開館した博物館。これまでの研究で蓄積されてきた動物標本や歴史資料、研究成果などを公開しています。 館内には小動物から大型動物まで、実物骨格標本が展示。恐竜の骨格標本は展覧会などで目にする機会もありますが、見渡す限りなじみ深い動物の骨格標本というシチュエーションはなかなか経験できません。カラスやペリカンといった鳥類は驚くほど軽く、アジアゾウは下顎だけで30kgもあるそうで、骨に触れて学べる「ハンズオンコーナー」では骨の重さも体感することができます。 息子はアナコンダの骨格標本に釘付け。自然のものとは思えない、美術工芸品のような繊細かつデザイン性の高い骨を前に、しばし無言になっていました。
こちらの博物館、平日開館していますが事前予約制ですのでご注意を。
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麻布大学いのちの博物館
以上、子どもの好奇心をのばす相模原のお出かけスポット4つをご紹介しました。藤野芸術の家は少し離れていますが、JAXA 宇宙科学研究所 相模原キャンパスと相模原市立博物館の最寄り駅・JR横浜線「淵野辺」駅と、麻布大学いのちの博物館の最寄り駅・「矢部」駅は隣り合っているので、3つまとめて巡るのもおすすめです。








