この記事では、住宅診断のプロであるホームインスペクターの友田 雄俊氏(株式会社さくら事務所)に、住んでから後悔しやすいポイントを教えてもらいました。
・ホームインスペクターとは?
住宅の劣化や施工の状態などを、専門知識をもとに客観的にチェックする専門家です。新築・中古を問わず、購入前の「見えない不安」を減らすサポートをしてくれます。
マンションの室内や共用設備で、購入前に注意しておくべきポイントとは
憧れのマンションライフ。しかし、実際に住み始めてから「こんなはずじゃなかった……」と後悔につながるケースは少なくありません。見た目の印象や最新設備に目を奪われがちですが、管理規約や長く住むことを見据えた将来コスト、暮らしとのミスマッチなど、意外な落とし穴も多いのです。特に次のような点には注意しておきましょう。
■広いバルコニーの使い方
開放感のあるバルコニーに惹かれて購入したものの、災害時の避難経路とされているため、管理規約で植木鉢の設置や物置きが制限されていた──というケースは少なくありません。購入前に「どこまで使えるか」を管理規約で確認しておくと安心です。
■高機能な給湯器・蓄電池
「エコキュート」「エネファーム」などは魅力的ですが、導入後10~15年後の交換費用が一般的な給湯器より高額になる場合があります。また、災害時に役立つ蓄電池もいずれは劣化し、交換が必要になります。導入時だけでなく維持・交換のコストまで想定しておくことが大切です。
■ガス衣類乾燥機
ガス衣類乾燥機「乾太くん」のような人気の設備は、配管の都合上、新築マンションに後から設置するのは非常に困難です。「いつか設置したい」と考えているなら、購入前の段階で設置可否を確認しておきましょう。
■テレワーク環境(防音性)
リモートワークが日常になった今、室内の静けさや間取りの独立性は快適さに直結します。自宅で仕事をする方は、生活音や隣室の話し声が互いに気にならないか、実際の生活をイメージしながら確認しておくとよいでしょう。
マンションは戸建てに比べて独立した部屋を確保しにくいことと、屋外の音が室内に入ってきにくい場合が多いことで相対的にマンション内の音が気になりやすいことなどに注意が必要です。住戸内や上下左右隣住戸の音を防ぐために、壁内の断熱材有無や、スラブ厚(床のコンクリートの厚さ)などはマンションごとに仕様の違いが生じる部分なので確認をしておくとよいでしょう。
■豪華な共用施設
フィットネスルームやキッズルームなどの共用施設は魅力的ですが、将来の修繕や維持にかかる費用は、住民全員が管理費や修繕積立金として負担していくことになります。「使わない施設に毎月お金を払う」ことにならないよう、本当に必要かどうか、冷静に見極めましょう。
株式会社さくら事務所・ホームインスペクター 友田氏
株式会社さくら事務所 ホームインスペクター
大手リフォーム会社にて木造戸建て住宅リフォームの営業・設計・工事監理に従事。2019年にさくら事務所に参画し、建物の施工中や完成後の状況を検査・調査するホームインスペクターとして活躍。住宅トラブルに関する相談対応実績は1000件以上。2025年にさくら事務所・執行役員CCOに就任。自身が取材協力した「マンションバブル41の落とし穴」(小学館)が発売中。






