人間関係

「子どもとの会話は1人30分」って何様!? 家庭でも「効率重視」のモラハラ夫に妻は……

「効率が悪い」が口癖の夫。家事の効率化なら分かるが、夫は家族との会話にも効率を求める。3人の子と順番に話すときは1人30分。妻と2人の会話は睡眠前の15分。そんな夫の言動は「モラハラに近い」と妻は考えている。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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子どもたちとの会話にも「効率」を求める夫(画像:PIXTA)

子どもたちとの会話にも「効率」を求める夫(画像:PIXTA)

家庭が会社経営にたとえられることは少なくない。家族を1つのチームと考えれば決して的外れではないのだが、そこに「効率」を入れこみすぎると感情が優先されがちな家族の間がぎすぎすしたものになりそうだ。

家庭はビジネスの場ではない

夫の口癖は「効率が悪い」だと、マナミさん(44歳)はため息をつく。結婚して13年、12歳、10歳、6歳の子がいての共働きは、とにかく忙しい。だからこそ夫は「効率」を口にするのだが、家庭はビジネスの場ではないと彼女は考えている。

「家事の効率化は分かります。だからうちは食洗機や自動掃除機など、家電は充実させている。でも夫は家事以外のことも効率を図りたがっているんです」

例えば子どもたちとの会話。夫は週末、時間をとって3人の子と順番に話す。1人30分が目安だ。

「夫は家でも仕事をしたり、仕事関係の勉強をしたりしている。それはエラいと思うけど、だからって子どもとの会話が1人30分って、何様だよと私は思うんですよ。子どもに対してのケアは24時間365日続くものだし、子どもが話したいとまとわりついてきたときは、どんなに忙しくても私は全ての家事を中断して子どもと向き合いますよ」

効率はいいが義理を欠くことも

夫は計画的にことを進めたがるタイプ。妻と2人だけの会話も睡眠前の15分と決めており、ツインベッドにそれぞれ横になってしゃべっていてもふと気付くと寝ている。そこまでだいたい15分前後。夫の体内時計はかなり確かだとマナミさんは苦笑する。

「親戚づきあいはしない、それぞれの親のことは自分でケアするなど、確かに効率はいいけど、義理を欠くことも多々あります。いざというときは『遠くの親戚より近くの他人だよ』と夫は言う。友達づきあいも『あいつは使える、使えない』でつきあうかどうかを決めていく。私はそういうのがなんだか嫌なんですよね。友人関係なんて、あの人とつきあうと得するからつきあおうというものではないはずだから」

以前、マナミさんが近所のママ友と自宅マンションのエントランスで立ち話をしているところへ、たまたま夫が帰宅したことがある。あとから「立ち話なんて効率が悪すぎるよ」と夫はつぶやいた。

何もかも「効率」で考えるのはモラハラ?

最近、マナミさんは「夫の言動はモラハラに近い」と思うようになった。夫にしてみれば、日常生活を効率よく過ごし、家庭も仕事もより円滑に進めていきたいのだろうが、マナミさんはそういう夫から妙な圧を感じることがあるという。

「私は精神的なゆとりや、何も考えない時間もほしいんです。だらだらと子どもたちと過ごす時間も好きですし。でも夫は常に何かを考え続け、効率よく物事を処理し、感情に振り回されない生活をよしとする。彼は仕事も順調で、社内でも出世すると思われているみたい。でもどんなに仕事ができて出世しても、彼が人生を楽しく生きているとは思えない。そういう姿勢を子どもたちは見ているんじゃないかなと思います」

子どもたちと遊んでいても、夫は時間がくると「はい、終わり」とあっさりやめる。それは旅先でも同じ。夏休みには家族旅行が恒例となっているが、夫は旅先でもスケジュールを組んでいる。

「子どもたちにはちゃんと学習の時間が設けられている。机上の勉強でなくても例えば植物園に行って観察する、海辺で生き物を見つけるなど、何かしらテーマが決められているんです。3人子どもがいると興味の矛先も違うんですが、興味がなくてもやらせる。しかも私には的確なアドバイスをするよう指令が出ています。私は動物は好きだけど植物はあまり興味がない。そう言っても『興味のないことをすることで、今までとは違うものの見方ができるはず』って。夫はその間、宿にとどまって仕事をしています」

ムダな時間も必要

マナミさんと子どもたちが宿に戻ると、「報告」をしなければならない。何を見たのか、何を得たのか、それを今後、どう生かすか。

「ただ単純に楽しいから遊ぶとか、ムダな時間を過ごすとか、そういうことは夫の頭にはないんですよ。私は時々息がつまるから、子どもたちにも、夫のいないところではムダな時間を過ごすよう仕向けたりもしています」

マナミさんが職場での飲み会に出席するときや、ごくまれに友達と会うときも、夫は「そこで何が得られるのか」を問い掛けてくる。マナミさんは今の職場が好きだから、単純に飲み会も楽しんでいるだけだが、夫にとっては「それはもったいない」のだ。上司に自分を売り込むとか、立案されていないが新しいアイデアを披露してみるとか、もっとその場を有効活用すべきだと。

「でもうちの職場でそんなことをしたら和を乱します。飲み会は単純に楽しもうとする人たちばかりだから。夫はもっと厳しい職場で働いているのかもしれないけど、そういうことを私に強要するのはどうかなと思いますね」

効率よく動いて結果を出す。仕事上では当たり前かもしれないが、家庭にはそぐわない。マナミさんはそう考え、夫にも伝えているが、夫は自身の姿勢を崩さない。一方的に自分が譲っている状態にいつまで我慢できるだろうか。マナミさんは最近、そんなふうに思うようになっている。
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