実はその50円玉は、2025年10月11日に終了した第125回入札誌「銀座」で落札されたのです。現行の50円玉ではありますが、誰が見ても一目瞭然、ある部分が明らかにおかしいのです。
エラーコインの中でも特に貴重な大珍品
今回落札された50円玉は、昭和50年のもの。穴の位置が中心から大きくずれています。本来空く穴の大きさ1個分ほどずれています。ここまで穴がずれているのは珍しく、エラーコインの中でも“大珍品”といってもいいでしょう。一般的にエラーコインは、世に出回る前に造幣局によって不良品として回収されます。しかし、特に現行貨幣の中でも昭和時代のような比較的古いコインには、エラーコインが出回っていることも決して珍しくありません。今回落札された50円玉ほどのエラーはあまりないものの、穴が数mmずれているといったエラーコインであれば、探せば見つかる可能性があります。
なお、現在は当時よりも技術が向上しているため、今回落札されたようなエラーコインが出回ることはほとんどないといってもいいでしょう。そのため、令和より平成、平成より昭和のコインのほうがエラーを見つけやすいのです。
落札された50円玉は、コイン鑑定機関PCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)により“65”の評価を得ています。70段階のうち65という評価は、完全未使用品レベルです。発行から50年も経過していますが、65評価ということは、当時流通してすぐに発見され、大切に保管されていたのではないかと思われます。このような評価も、高額落札された理由の1つといえるでしょう。
1mmずれているだけでも価値は高まる
「昭和の硬貨を探せと言われても、完全未使用品なんて無理ですよね?」確かに、基本的には難しいでしょう。ただし、古い金庫の中にしまわれているお金や、昔祖父が集めていたコインなどがあれば、見つかる可能性もあります。また、今回落札されたような大きな穴のずれ方はないにせよ、数mmずれているものは偶然発見できることもあります。第125回入札誌「銀座」では、穴が2~3mmずれた昭和56年の50円玉が8万4000円(手数料込みで9万7860円)で落札されています。穴がほんの少しずれているだけでも、額面の何百倍~何千倍の価値が付くことも十分に考えられます。
なお、新しい時代のエラーコインほど高値が付く傾向にあります。技術も発達したため、エラーコインはないだろうと思われても、ごくまれに出回ることがあるのも事実。お釣りをもらった時などに気にして確認する癖もつけておくと、思わぬお宝を発見できるかもしれません。
<参考>
第125回入札誌「銀座」 Lot番号:439 50円白銅貨 昭和50年 穴ズレエラー PCGS(MS65) ※ケース少曇り有り
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