中学受験で成果を出すために大切な、親の具体的な関わり方や学習法について塾講師の視点で解説する『「まだ伸びる!」をあきらめない 中学受験 子どもの成績の本当の伸ばし方』(ユウキ先生著)から一部抜粋。今回は、通塾の効果を最大化するために大切な「授業の受け方」を紹介します。
塾の授業中、うちの子はどうしている?
こんな場面を想像してみてください。クラスの前方、窓際の席に座るAさんは講師が黒板に新しい図形を描き始めると、すぐにノートを開き、一字一句ていねいに強い筆跡で、板書の隅々まで見逃さないよう集中して書いています。またAさんの周りにはグループができていて、自分たちで説明を補完し合っているようです。
一方、教室の奥、窓の外をぼんやり眺めるBくん。講師の声は耳に届いているはずなのに、鉛筆は動かずノートには空白があるばかり。終礼のチャイムが鳴っても、「何を習ったか」を言葉にできずに、うつむいたまま帰り支度をしています。
これらはいずれも同じ授業を受けているにもかかわらず、授業の受け方が学びの価値を大きく左右している様子がわかるシーンです。
塾において、大切なのは「通わせた」という事実ではなく、子どもがどれだけ授業内容を吸収できたかのひと言に尽きます。
同じ授業を受けても、理解度や集中力の差によって、得られる成果は変わるのです。子が「授業を吸収できているか?」は以下のように確認してみましょう。
1. 授業での「反応」を定期的にチェック
「質問や発言をしますか?」など先生に定期的に質問をして、子どもの授業中の積極性を確認してください。また、家庭で授業内容を具体的に答えられたり、積極的に話す姿勢があれば、安心です。一方「よくわからない」「忘れた」と返事が返ってくる場合は要注意。授業への取り組み方や先生との相性を見直す必要があります。
2. ノートの内容を確認
多くの集団塾では、講師が黒板やホワイトボードを使いながら説明を進めます。その説明を聞き取って、自分の言葉でていねいに書き写しているかどうかが、学習効率のカギ。成績が伸び悩む子どものノートは、黒板の要点が抜けていたり、図や解法のステップが正しく再現されていなかったりする場合があります。
ちなみに私自身、講師時代には授業の聞き方を生徒に身につけてもらうため、「聞く時間」と「書く時間」を明確に分けるという工夫をしていました。
例題を解説するときなど、まず「鉛筆を机に置いて聞いてね」と伝え、先にホワイトボードを使って説明を行い、生徒が理解したところで初めて「今説明したことをノートに書いてみよう」と促します。
ここでも、ただ板書を写すのではなく、「自分は何をどう理解したのか」を思い出すように、「ここはこう考えるんだったね」といった補足を加えていきます。
まず聞く、その後に考えながら書く。この時間で理解力や記憶の定着が飛躍的に高まります。
これは今、オンラインで指導している子どもたちも同様にしています。
まず聞く、その後に考えながら書く。この時間が結構理解と定着に重要だと思っています(だいたい、説明を聞きながら書いている子は、その後私からの発問に答えられません。「あ、聞いてなかったね」とわかる瞬間です)。
だからこそ、親が定期的にノートをチェックして、「授業でどんな教え方をしているのか」「先生の板書の要点を正しく理解して書けているか」「小学生が自然に理解できる解法で教わっているか」というポイントを確認することが重要です。
授業ノートを一緒に振り返る習慣ができれば、授業内容の理解度が上がるだけではなく、授業を受ける姿勢そのものが整っていきます。
この積み重ねが中学受験を乗り切る確かな基礎を作り、志望校合格への着実な一歩になります。
ユウキ先生(ゆうきせんせい)プロフィール
三浦祐輝。中学受験スリースターズ代表講師。2006年より関東の大手進学塾にて算数の講師を担当、数多くの合格者を輩出。現在は「中学受験スリースターズ」を運営し、SNSなどを通じて算数の解説動画や学習法を発信するほか、全国の受験生や保護者への個別相談やサポートを行う。自身も保護者として子どもの中学受験を支えた経験を持ち、指導者・保護者という両面からの具体的かつ実践的なアドバイスで多くの支持を集めている。







