人間関係

「玄関前に置かれた煮物」にもイライラ……。実母の“親切心”に振り回される42歳女性の憂鬱

「母は悪い人ではないが想像力がない」という42歳女性。相手の状況を無視した“親切心”に、いつも気持ちが逆なでされる。だが、母に悪気はないのだ。噛み合わない親子関係、互いを認め合うにはどうすればいいのだろうか。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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母の親切心に気持ちが逆撫でされることも(画像:PIXTA)

母の親切心に気持ちが逆なでされることも(画像:PIXTA)

子どものころは親が絶対的な存在だったものの、成長するにつれて「どこかおかしい」と気付き、親が必ずしも正しいとは限らないと理解する。人はそうやって大人になるものかもしれない。親も人間、長所もあれば欠点もある。大人同士として、どうやって互いを認め合っていけるのかが重要なのではないだろうか。

悪い人じゃないんだけど

「うちの母は悪い人じゃない、むしろ親切な人かもしれません。でもそれがお節介になったり、相手の望んでいない親切の押し売りになったりすることに想像が及ばないんですよね。想像力のない人だなと思うことは多々あります」

困惑したようにそう言うトモカさん(42歳)。結婚して子ども二人を授かったあたりから、母のピント外れな親切に驚くことが増えたそうだ。

「共働きなので、基本的には子どもは保育園に預けてきましたが、どうしても迎えに行けないときは母に頼んでいました。近くに住んでいたので、『いいよ』といつも二つ返事で、助かったのは確か。でも私が夕飯には間に合うように実家に行くからと言っているのに、変な時間に大量のお菓子を与える。やめてと言っても『おなかが空いたらかわいそう』って」

母の親切心が迷惑に……

2年ほど前にはこんなこともあった。夫の父が亡くなり、夫婦で遠方の夫の実家に行ったときのこと。子どもたちは小学生だったし、夫の実家にはなじみがなかったため、母に預けていつも通りに学校に行かせることにした。

「帰ってくる時間は知らせてありました。母は『空港まで車で迎えに行こうか』と言ってくれたけど子どものこともあるし、翌日も学校だし、私たちも電車で帰った方が早い。だからいいと言ったのに、私たちが空港から電車に乗って自宅に向かっているとき母から連絡があったんです。『空港に着いたよ。どこにいる?』って。夫は『心配だから空港まで戻る』と言いだして。仕方がないので先に私が自宅に戻り、夕飯の支度をしているうちに、結局、夫が車を運転して帰ってきました。『心身ともに疲れているのにどうしてそういうことをさせるのか、お母さんが余計なことをするから迷惑なんだ』と後でキツく言ったら号泣されましたけど」

夫に本当にすまなかったとトモカさんは今でも思っているそうだ。

勝手な判断をするくせに依存してくる

1年前、トモカさんの父が亡くなり、母は一人暮らしになった。とはいえまだ60代後半だし元気なのだが、父がいなくなった分、依存度が高くなっている。

「空港事件のときもそうだったけど、時々非常に勝手な自己判断をするんですよね。相手の状況も気持ちも無視して。それなのに普段はどんどん依存度が高くなっている。例えばとっている新聞をやめるか続けるかでいちいち連絡してくる。好きなようにすればいいじゃないと言ったら、『どうして相談に乗ってくれないの』と。お母さんが読むんだから、お母さんの好きにすればいいでしょうと言うと冷たいと嘆く。『ジャガイモがいっぱいあって困ってる』というから引き取ってほしいのかなと思ったら、『何を作ればいい?』って。母はスマホでネット検索もできるから、検索すればいいじゃないと解決策を教えたんですが、『あんたにはそんなにレパートーリーがないか』と急にマウントとるような発言をしたり」

結局、一人暮らしだとどう生きたらいいか分からないのだろうとトモカさんは推測している。「主婦としてやるべきこと」から解放されたのだから、したいことをすればいいのに、母は日々、なにもせずに生きているだけ。娘から頼りにされることを望んでいるのだろうが、トモカさんはなるべく母には頼りたくないと考えている。「こちらも1つの家庭だから、家族できちんとやっていきたい。母とは一定の距離を保ちたい」のだ。

「ところが母としては、もっと私を輪に入れてと言いたいんでしょうね。分からなくはないけど、母には自分の人生を生きてほしいんですよ。そう言ってもなかなか伝わらないから、イライラするんですが」

ため息ばかりついてしまう日々

いつか介護が必要になれば、そのときは考えるつもりだが、今から母が背中に覆い被さってくるような日常は避けたい。

「この前も、夕方、私が帰宅したら玄関前にビニール袋に入ったタッパーが置かれていました。煮物が詰めてあったけど、暑い時期にそんなことするのって非常識すぎるでしょ。煮込んだから大丈夫と言っていたけど、ちょっと怖くて食べられませんでした。もったいないことを平気でするんですよね」

そのたびに気持ちが逆なでされる。認知症を疑って診てもらったが、まだまだ大丈夫と言われたばかり。

「実の親子だからこそ遠慮がないのかもしれないけど、そこは節度を持ってほしい。夫は『あんまりキツく言うなよ』と言ってくれるけど、私はどうしても言い方が強くなって。ため息ばかりついてしまう日々です」

ああいう人なんだから仕方がないけどとトモカさんは弱々しくつぶやいた。
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