人間関係

内山理名、武井咲、角谷暁子アナらも。出産“事後報告”した女性たちの「やむをえない事情」

先日、内山理名さんが出産発表をしたが、妊娠を公表しない「事後報告」だった。出産は女性にとって命懸けであり、知らせるかの判断は有名人、一般人も関係ない。中には事後報告を選択せざるをえない人たちもいる。※サムネイル画像:内山理名さん公式Instagramより

亀山 早苗

亀山 早苗

恋愛 ガイド

どうして男女は愛し合うのか、どうして憎み合うのか。出会わなくていい人と出会ってしまい、うまくいきたい人とうまくいかない……。独身同士の恋愛、結婚、婚外恋愛など、日々、取材を重ねつつ男女関係のことを記事や本に書きつづっている。

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このところ、妊娠発表をしないまま出産する芸能人・著名人が多いと話題になっている。2025年9月10日に出産を報告した俳優の内山理名さん、7月に発表したテレビ東京の角谷暁子アナウンサー、俳優の武井咲さんも2月に無事出産したと事後報告をした。
 
出産は個人的なことであり、さらに女性にとっては命懸けの大事業だ。無事に産まれてくるまでは何があるか分からない。妊娠しました、いつごろ産まれますといちいち発表する必要もない。

仕事に支障があるようなら、関係者のみに伝えておけばいいこと。有名人であっても、どういう形でいつ発表するかは個人の判断だろう。

もちろん一般人にとっても同じだ。会社員であれば会社への報告は必須かもしれないが、それでも安定期に入ってからという人も少なくない。

親にも黙っていた私

「もともと母親との折り合いが悪かったんです。過干渉で私の人生の選択にやたらと口を挟んでくる。間をうまくとりもってくれていたのは父だったんですが、私が20歳にときに急死して……。それでも私は就職したときに家を出ました。一人っ子だし、母とずっと二人きりの生活は考えられなかった」

仕事に夢中だったアサコさん(39歳)が、35歳になったときふと周りを見ると独身女性はほとんどいなかった。一人でもいいと思っていたそのころ、友人として付き合っていた同い年の男性と恋に落ちた。

「彼はバツイチだったんですが、20代での結婚の顛末(てんまつ)も話してくれたし、私は問題視していませんでした。友人として信頼していたし、恋人関係になってからもじっくり時間をかけて分かりあっていったつもり。結婚を決めてから一応伝えておこうと思って母親に言ったら、バツイチだというだけで大反対でした」

アサコさんはその反対を押し切って3年前に結婚、昨年、第一子を出産した。結婚後、ほとんど母親とは連絡をとらなかったが、さすがに子どもが生まれたときは、夫の方から「オレが連絡するよ」と言ってくれた。

義両親にもくってかかった母

産まれてから3日目に病院にやってきたアサコさんの母は、「どうして話してくれなかったのよ」といきなり娘を怒鳴りつけた。

「そうやって感情的になるから何も話したくなかった。産まれたことも知らせないつもりだったけど、彼が伝えた方がいいと言ってくれたのよと静かに言いました。それでも母は『妊娠したらすぐ、母親に知らせるべきでしょ。しかも産まれたことまで隠そうとするなんて、どうしてこんな子になってしまったんだろう』とブツブツ言うばかり。ちょうど夫の両親も来て鉢合わせになってしまった。すると母は『お宅は知ってたんですよね』と義両親にくってかかって。私から母のことは義両親に伝えていたので、『まあまあ、病室ですから』と義母がうまくなだめてくれて。義父母はとってもいい人たちなんです」

人間関係に不安があれば、人は大事なことを話したくはないものだ。母に伝えたくなかったアサコさんの気持ちを、夫や義両親は分かってくれた。そこからまた、実母とは疎遠になった。

マウントをとりたがる友人には知らせたくない

「私、一度流産しているんですよ。だからその後、妊娠したときも不安でたまらなかった。夫と自分の親にも安定期が来るまでは言えなかった。もちろん友達にも」

そう過去を振り返ったユミさん(40歳)。結婚してすぐの32歳のときに流産を経験し、人に知らせることには慎重にならざるを得なくなった。

「妊娠したばかりのころ、仕事帰りに学生時代の友達であるリエにばったり会ってお茶でもということになって。彼女とはオフィスが近いので、時々偶然会ってはいたんですが。嫌な予感がしたんですが、カフェに入ったら急に気持ちが悪くなった。調子が悪いから帰るわと店を出たんですが、彼女は私が妊娠していると気づいたんでしょうね。次の日には友達がみんな知っていた。おめでとうと言われたけど、結局、流産してしまって」

流産したとき、リエさんはすぐに連絡してきて、「顔色悪かったもの。体力ないんじゃない? 元気な子を産みたかったら、もっと気をつけなくちゃ」とエラそうにマウントをとってきた。リエさんは20代で結婚してすでに母親になっていたのだ。

「そのとき、次に妊娠してもリエには絶対に知らせないと決めました。2年後に妊娠したときは、職場では信頼できる女性の先輩にしか話さず、安定期に入ってからやっと会社に報告した。親にも安定期に入って初めて伝えました」

親しい人だけに祝ってもらえれば

36歳のときに第二子を出産しているが、そのときは大きなおなかを抱えて歩いていたら、リエさんに呼び止められた。

「あら、また産まれるのというのが第一声でした。彼女は二人目がほしかったけどできなかったらしいと聞いていたけど、私はそれを持ち出すほど嫌な女ではないので、『二人はほしかったから』とだけ言いました。それでも彼女はムッとしていましたけどね。子どもの数でマウントとるなんてくだらないと思いますよ」

産まれたら教えてねとリエさんには言われたが、もちろんユミさんは連絡しなかった。そのときも会社への報告と、親と信頼できる先輩だけだった。

「友人知人にはいずれ分かっていくだろうから、いちいち知らせる必要はないなと二人産んでみて思いました。それって結局、結婚後に『子どもはまだ?』というのと同じように、個人的なことに他人が首を突っ込むなってことなんですよね。知らせたい人は広めればいいけど、産まれてから報告したい相手にだけ伝えるという方法でもいいはず。妊娠や出産で、つまらないマウント合戦になって、人間関係が変わることもあり得ますから、嫌な思いをしないためにもあまり言いふらさない方がいいかもしれない」

分かってくれる人だけが祝ってくれればいい。ユミさんは達観したようにそう言った。
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